出版社内容情報
『ピカソ ジャコメッティ ベイコン』に続く美術論第二弾。
内容説明
「愛するものだけについて語る」という規則の下に綴った特異な美術論。
目次
マルセル・デュシャン(マルセル・デュシャンの工芸;彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも ほか)
ジョアン・ミロ(「ジョアン・ミロをめぐって」、付載「修正と加筆」;ジョアン・ミロ ほか)
アンドレ・マッソン(伝記抄;アンドレ・マッソン ほか)
ウィフレード・ラム(ウィフレード・ラム;ウィフレード・ラムに ほか)
感想・レビュー
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nobi
51
1900年前後生まれの同世代の画家を、その絵をレリスが語る。四人それぞれの絵を彷彿とさせるような文体で。デュシャンには解のない数式を解くような怜悧さで。不器用だったミロには「万華鏡的遊び」のように。戦争のむごさを知ったマッソンには「呪術的な操作」「錬金術的変成」で。代母が呪術師だったラムには「荒々しい優雅さと、胸に食い入る鋭さをそなえた」文体で。特にマッソンと彼の絵に対する思いの熱さは80歳を越えても衰えない。レリスは若い頃パリ十五区のマッソン宅に入り浸ってそこで詩も書いたという。なんという異才達の世界。2023/01/07