内容説明
嫉妬、わがまま、欲求不満、不信…どんな女の心にも潜む悪意の種ははかり知れない。殺人事件の起きた部屋の隣に住み続ける女、不妊に翻弄される女、婚約者が突然姿を消した女、わがままで自分勝手な金持ち女、母親への愛情を持てない女…それぞれが抱いた小さな悪意が導く出来事とは…誰の身にも起こりうる事件の背後に隠された女の心理を抉る傑作サスペンス。
著者等紹介
春口裕子[ハルグチユウコ]
1970年神奈川県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。損保会社勤務の後、『火群の館』で第2回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞し、デビュー。文芸各誌、アンソロジーで短編を発表するほか、エッセイストとしても活躍中。短編「ホームシックシアター」が第60回日本推理作家協会賞の最終候補作となり注目される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ユザキ部長
84
短編。残念。表紙から怖い本を想像してましたが全然。2015/06/09
まさきち
81
女性の嫉妬や怨念など色々な面での怖さを感じさせてくれる6編を集めた短編集。それぞれ複雑なひねりが加えられている訳ではなく、むしろ結末を事前に思い浮かべながら読めるストレート気味な話が多く、だからこそ登場する女達が内包する怖さを感じることに集中できました。前半4編は読み終わるとともにどよ~んとするような結末でしたが、最後の2編はどちらかというと前向きな結末となっており、全体を読み終わって明るい気分で読了できた一冊。2017/11/16
アッシュ姉
80
読友さんのレビューに惹かれて。「イヤ汁マスター」と呼ばれるのも頷ける巧さで面白かった。何とも生き苦しそうな女たちの心情がリアル。無神経な友人に翻弄される不妊に悩む女、殺人事件の起きた部屋の隣に住み続ける女、デパートの靴売り場で働く地味な女。前半三篇がお気に入り。なぜイヤミスを欲するのか、しっくりきた解説も良かった。「物語として適度な距離感を保ちながら、日ごろは目を逸らしている負の感情を咀嚼することで、心の毒を消化する」本書はイヤミス度は低めながら、解毒効果は高かった。他作品も是非味わってみたい。2016/11/14
takaC
75
「枚数稼ぎの共」的に読了。しかしチョイス間違えたな。気分悪化。短編の配列に作者か編者の配慮なのか真っ逆さまに自由落下ではなかったのがせめてもの救いか。橋口裕子、名前は覚えたけどこの本の再読はないな。2014/10/30
papako
73
お気に入りさんの感想が気になって。女のなんとも言えない短編集。解説に書かれている『イヤ汁マスター』ってひどい呼び名、いや褒め言葉ですね。これを読む限りではそんなに『イヤ』ってほどではないかな。短編の中に盛り込まれた女の感情の表現はうまいなぁとは思いました。イヤ汁小説というより感情ホラー小説かな。自分は子ナシだけど、欲しいとも思わなかったし、誰かに何かを言われたこともないから最初の『蝉しぐれ〜』で出鼻をくじかれたから、そんなに入れなかった。ラストの『おさななじみ』これは好き。長編試してみます。2016/11/24