出版社内容情報
「ミミズ」「アブラ」「トカゲ」特殊な遺伝子疾患が、すべての殺人事件のカギとなる――鬼才がおくる衝撃の連作短編ミステリー!
内容説明
高級住宅地ミズミズ台で発生した乳児殺害事件。被害者の赤ん坊は自宅の巨大水槽内で全身を肉食性のミズミミズに食い荒らされていた。真相を追う警察は、身体がミミズそっくりになる遺伝子疾患を持つ青年・ノエルにたどりつく。この男がかつて起こした連続婦女暴行事件を手がかりに、突き止められた驚くべき「犯人」とは…!?鬼才が放つ怒涛の多重解決×本格ミステリ!
著者等紹介
白井智之[シライトモユキ]
1990年千葉県印西市生まれ。東北大学法学部卒業。『人間の顔は食べづらい』が第34回横溝正史ミステリ大賞の最終候補作となり同作でデビュー。第二作『東京結合人間』が第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)候補、第三作『おやすみ人面瘡』が第17回本格ミステリ大賞(小説部門)候補となる(全てKADOKAWA)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
398
思っていた以上に内容のつまった連作集。内容がつまっていて情報過多なこともあり、一読しただけではストーリーの芯のブレや、無駄な部分の多さに気付ききれていない気もする。なので、再読した時に大きく印象が変わる恐れがある。一発目の『ミミズ人間~』で、一風変わった多重解決の基本型が示され、それが反復されながら、忠実に起承転結が為される構成は上手かも。無理くりエログロに持っていくだけのトンデモ設定が、シラケる時もあるのと、多重推理というより、判断材料が出揃っていない段階の推理途中と感じることもしばしば。2019/01/27
starbro
228
白井 智之、三作目です。職場の読友さん(20歳代、女性美形)に転貸するために前倒しで読みました。本書は、変態エログロ・ミミズ・ミステリでした。面白いですが、本屋大賞には絶対ノミネートされません(笑)本書読了直後は、ミミズを連想させる焼きそばパンは食べられないかも知れません【読メエロ部】2019/02/25
aquamarine
97
遺伝子疾患によるミミズ人間やトカゲ人間が共存する世界。一瞬飴村作品が頭をよぎりましたが、こんなぶっ飛んだ設定と描写でありながら、実は細かい部分も読み落とせない繊細な伏線が見事な白井作品らしい本格です。連作で追う事件のそれぞれの謎解きが、途中必要条件が揃わない状態でいくつかの回答を導き出すといういままでにちょっとない形で興味深かったです。そしてそれにもちゃんと意味があり、最後に待ちうけるものにもラストシーンにも圧倒されました。白井初作品としてはおすすめしませんが、ファンとしてはこんなエログロでも大満足です。2019/02/06
あも
94
オッス!オラ、ミミズ人間!ミミズみてーな肌で差別されてっから、誰かレイプして自殺すんぞ!あと、アブラ人間やトカゲ人間もいんだ!オラ、ワクワ…ちょ待て。ど・ち・らをレイプしようかなー?なんつー冒頭から、全く無関係に起きる殺人事件。しかして、誰をレイプしたかで真相が大きく変わるという史上最低なテンプレを発明しやがった連作ミステリ。更に終盤、ちゃぶ台どころか畳ごとひっくり返す。本気でタチ悪いのが相も変わらぬミステリ練度の高さ。底知らずに深化し続けるド変態鬼畜王子白井クン。最早防げそうもない戴冠の日を震えて待て。2018/12/17
keroppi
88
倫理観も理性もなく、強姦、殺人、いじめ、監禁、が次々に起こり、どうしようもない異常な設定なのに、純愛や兄弟愛による復讐劇で、めちゃくちゃ論理的な謎解きがあるという、もう凄い白井ワールド。よくこんな話が作れるなと感心。しかも、最後にアッと言わせる。また次が出たら読んじゃうよなぁ。2019/01/16