出版社内容情報
かつて東京には夥しい数の水路があった。「暗渠」となったそれらから読み解く地形、風景、土地利用。大判暗渠地図付き。
内容説明
歴史と記憶、地形をたどる水のネットワーク。
目次
序 東京の暗渠
1 渋谷川支流の暗渠
2 神田川支流の暗渠
3 目黒川支流の暗渠
4 呑川支流の暗渠
5 石神井川支流の暗渠
6 上水・用水の暗渠
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
34
下水は勾配によって流しているので、豊富な水資源に支えられている東京の生活の利便性は地形に規定されているといえます。意識下でコントロールされている下水の流れも、元を辿れば西から東へ支流の名残であり、普段は人々から隠されている無意識のようです。日常的に通る場所が自分の見立てとそう違わない形で過去に川が通っていて、暗渠の上にその痕跡が遊歩道や緩やかに曲がった生活道路、湿地などの徴候を確認するために豊富な写真と地図を見る。多分、暗渠を覗きたいという欲望は、ホラー映画を見たいと思うことに近似しています。2021/02/13
Roko
31
暗渠というのは、もともと川や水路だったところに蓋をし、道路として使用しているものです。多くの暗渠は強度的に強くないので、車両は通行できないことがほとんどで、遊歩道として使われているところも多くあります。暗渠になっている場所は日当たりが悪くて湿気が多いので苔が生えていることが多いというのは新しい発見でした。そして銭湯がある場所は、川の近くが多いというのも知りました。銭湯は大量に水を流すので、川のそばであることが多かったそうです。これから散歩をするときに、こういう観点で地面を見ていくのも面白いなぁと思います。2022/11/18
多喜夢
11
メインストリートの裏にひっそりとした暗渠があり、その暗渠は東京中を網羅している。網の目のような暗渠を徘徊しているといつしか異界の住民と化している。そんな妄想を抱く本。写真一枚一枚が暗渠感たっぷり。本書を片手に散歩するには重いが、ここに紹介されている暗渠を実際に歩いてみたい。2022/01/25
お抹茶
1
暗渠を探して歩くという趣味があることを最近知った。東京西部を中心に,暗渠を辿るフルカラーのガイドブック。新宿御苑内の千駄ヶ谷に源流を持つ渋谷川には道の蛇行や橋の親柱が点在し,入門的な川。東池袋~江戸川橋の水窪川周辺は戦前の雰囲気を色濃く残す暗渠路地。神田川笹塚支流(和泉川)には橋跡が多く,江戸から昭和の面影が交錯する。新宿御苑付近の玉川上水余水吐は風情がある。この本を読んで歩いていると,ひょっとしてここも暗渠かもと思うようになった。付録の東京地図には暗渠が張り巡らされている。東京の意外な一面が垣間見える。2024/04/09
駅前
1
原宿のあそこにも戸山公園近くにも暗渠。神田川の分水路レポートも貴重やね2022/12/11