内容説明
漱石の精神を病ませたロンドンは、夏目家にとって「鬼門」の地だった。百年の時間を経て、ついに彼の地を訪れた孫。かつての下宿部屋に入った途端、孫は予想もしなかった感動におそわれる。英国と日本、近代と現代、文学とマンガ…交錯する思いの中でふり返る夏目家三代の歴史。「漱石の孫」に生まれついた自分の「責任」とは何か。
目次
第1章 漱石と出会う
第2章 夏目家の鬼門
第3章 漱石観光
第4章 漱石と僕
第5章 文学論とマンガ論
第6章 業の遺伝
第7章 百年後の猫
著者等紹介
夏目房之介[ナツメフサノスケ]
1950年生まれ。青山学院大学史学科卒。マンガ・コラムニストとしてマンガ、イラスト、エッセイ、講演などで活躍中。特にマンガの表現を中心にした評論を活発に展開し、海外でもマンガ評論家として高い評価を受けている。その活動が評価され、1999年に第3回手塚治虫文化賞特別賞を受賞。NHK「BSマンガ夜話」レギュラーをはじめテレビ出演も多い
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
59
1世紀前、祖父が下宿した部屋をロンドンに訪ねた著者は、自分でもふしぎに思えるような感情につつまれる。かつて漱石関係の取材を断り続けるなど、「文豪の孫」であることに苦しみ、30代になってようやく「解禁」できるようになったという。漱石の長男であるお父さんとは、漱石への思いがかなりちがっていたことも、家族というもののあり方について考えさせられる。メインワークのマンガ評論とは一味ちがうイメージの本だが、著者の半生の思いがつまっているように思える。2019/07/07
fseigojp
29
悪妻 鏡子説に真っ向から批判 ビッグ・マザーだったそうだ 家族から見て、一番漱石らしい小説は「行人」だとか2015/11/24
りー
27
夏目房之助さんとの出会いは、祖母が購入していた「週刊朝日」だった。(塩野七生や藤森照信もここだった)。その後、漫画評論を読むようになって、更に好きになり「漱石のお孫さんなのか」と知る。この本によれば、ご本人はなかなか大変だったそうで。そりゃー、おじいちゃんが文豪だからという理由で作文を誉められたりしたらお臍が曲がったまま育つに違いない。漱石が1人立ち向かった「英国・ヨーロッパ文学」に、自分が漫画論を持って訪れる不思議…2代かかって大祖父の束縛からもがいて抜け出したのだなぁ。漱石家の実情が面白かったです。2021/02/11
井戸端アンジェリか
17
孫問題とかトラウマとか、贅沢な悩みだな。おかげ様でのプラス面の方が絶対に多いでしょ、代われるものなら代わりたいわ。 時々べらんめい調になったり文にユーモアがあって読みやすい。でも、その話は別にどうでもいいんですが、と脱線が多くて期待外れだった。そう思っていたら御本人もあとがきで書いてたね、えへへへ。孫ならではのお宝写真やイラストもあって、その辺りは良かったです。2016/05/10
むーむーさん
12
有名人の親戚は大変だな2016/07/13