内容説明
古代最大の内戦・壬申の乱、室町幕府を確立させた中世の戦闘・青野ヶ原の戦い、近世最大の会戦・関ヶ原の戦い。三つの戦いがいずれも同じ地(不破=青野ヶ原=関ヶ原)で行なわれたのはなぜか?また、その結果が歴史を大きく動かしたのはなぜなのか?この謎解きに、中世政治史を専門とする著者が挑む。考察の過程で、天武天皇が始めた「固関」の意図について、新説を導き出した。歴史の醍醐味を味わえる、スリリングな一冊。
目次
序章 なぜ関ヶ原(不破)だったのか
第1章 壬申の乱
第2章 青野ヶ原の戦い
第3章 関ヶ原の戦い(1)その構造
第4章 関ヶ原の戦い(2)歴史的意義
終章 歴史が転換する時
著者等紹介
本郷和人[ホンゴウカズト]
東京大学史料編纂所教授、博士(文学)。1960年、東京都生まれ。1983年、東京大学文学部卒業。1988年、同大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。同年、東京大学史料編纂所に入所。東京大学大学院情報学環准教授を経て、現職。専門は中世政治史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
236
今までモヤモヤしていた歴史の謎が、すっきり。 三種の神器は3セットあった!や、中世日本史で「将軍二元論」を知らなければモグリなど、キャッチーなフレーズが目白押し。壬申の乱(672年)の時代、都・京都から見て「関東」とは関ケ原より東側で今の中部地方からが「異国」だった。歴史への興味が2割増しになった、好著。2020/09/15
たいぱぱ
85
壬申の乱(大海人皇子の乱)、青野ヶ原の戦い(南北朝の戦い)、そして関ヶ原の戦いが何故同じ場所で起こったのか?本郷さんは著作でよく他の歴史研究家の意見をぶった斬る。ちょっとそれが気に掛かる所ではあるが、優しい文章で日本の歴史を変えた戦いが説明されてて、わかりやすかった。序章で全体の1/5を割くも(笑)「戦いの勝敗の定義」などよく理解できたし、都が京都から江戸に移ったことや兵器(戦闘機や戦艦)の変化によって、日本のくびれ「関ヶ原」の地の重要性までも見失われてる現状を嘆く終章まで面白い一冊でした。2020/11/30
saga
70
天下を分けた決戦の地が関ヶ原という指摘とその理由に納得。京の都を基準に愛発関、不破関、鈴鹿関が防衛上の要衝で、その関の東側の地域が「関東」と言ったという新たな知見が得られた。戦の勝敗を、誰が最終目的を達成したかで計る見方も新鮮! 「関ヶ原の戦い」の部分は、再読した『関ケ原合戦―戦国のいちばん長い日』での考察とほぼ一致した内容で、復習にもなった。関ヶ原以後、譜代を中央に、外様を辺縁に置くことと併せ、鎖国により独立採算の各藩の目を海外との自由貿易から内需へと向けさせる家康の構想がすごい。2021/02/08
さつき
70
壬申の乱、青野ヶ原の戦い、関ヶ原の戦い。三つの天下分けめの戦争について、なぜ同じ場所で行われたかなど、詳しく解説されています。そもそも戦争とはどういうものか?どちらが何を目的にしかけたものなのか?そして戦争による「勝利」は何を指すのか?という戦争の定義が提示されますが、非常にわかりやすく目から鱗が落ちました。古代から近世にかけての西国と東国のパワーバランス。都と鄙の違いもわかりやすく、それ以外のちょっと横道にそれた話題も刺激的です。楽しい読書でした。2018/03/23
ポチ
63
壬申の乱、青野ヶ原の戦い、関ヶ原の戦いが行われた場所=不破関の東側の原野(西側は都)。都を攻める敵は関の東(関東)から来る。何故関東から?勝敗の帰趨を決めるのは何?他にもなるほどと唸る解説が多く、面白く読了。2018/07/22