バベルの図書館
ヴォルテール - ミクロメガス

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  • サイズ A5判/ページ数 271p/高さ 23X13cm
  • 商品コード 9784336025623
  • NDC分類 953

出版社内容情報

シリウス星の超特大巨人と土星の超巨人が地球を訪問する「ミクロメガス」ほか、「メムノン」「慰められた二人」「スカルマンタドの旅行譚」「白と黒」「バビロンの王女」ゴーロワ的エスプリあふれる作品集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

338
6つの作品を収録。いずれもヴォルテールらしい衒学と韜晦に満ちている。また、総じて観念的に過ぎて面白みが薄いか(むしろそこにヴォルテールらしい楽しみを求める人もいるのだろうが)。そうした中で、最も物語的な妙味に富むのが「バビロンの王女」である。アラビアンナイト風でもあり、また『ガリバー旅行記』やマルコ・ポーロのような要素もあり、適度に荒唐無稽でファンタスティックだ。物語の舞台もアラビアからインド、中国、そしてヨーロッパへと縦横無尽。もっとも、後半からはまたしても辛辣な文明批評めいてきてしまうのだが。2022/12/01

内島菫

30
ヴォルテールについては、カルロ・ギンズブルグの『糸と痕跡』で読んだ内容ぐらいしか知らなかったが、予想以上に読みやすい。ギンズブルグの指摘するような、例えば、ユダヤ人への不寛容とすべての民族に対する寛容といったように、ヴォルテール思想の首尾一貫性の欠如は、この時代のいわゆる啓蒙思想の逆説的な特徴ともいえるものだろう。「ミクロメガス」では、シリウス星人でありながらイエズス会の小学校で勉強していたり(「銀河鉄道999」でどこかの星の住人が畳の部屋に住んでいたことが思い浮かんだ)、2018/06/22

ふみふみ

9
風刺物の短編5編と冒険譚の中編一編。短編はSFチックな「ミクロメガス」が好みですが、シリウス星から地球にやってきた若者ミクロメガスのサイズが狂いすぎてて、リアル星の王子様に近いものを感じ、物語としては破綻気味な気がします笑。中編「バビロンの王女」は傷心の英雄アマザンと彼を追いかけるバビロンの王女フォルモザントの奇妙な冒険なんですが、古典的な冒険譚、ファンタジーのテイストに珍道中のような楽しさもあり、大変面白かったです。2023/11/21

みつ

9
18世紀の啓蒙思想家ヴォルテールの作品6編を収める。「ミクロメガス」はシリウスの惑星に住む巨人の名。身の丈3万9千メートルというから、表紙にあるように船との対比で描くことは実は不可能。ガリバー旅行記以上に極端なスケール間の違いが地球人の思想を炙り出す。様々な思想を皮肉を込めて描く様は、筋立ては忘れたものの同世紀に生きたディドロの「ラモーの甥」に似た読後感。「白と黒」の結末は、中国の故事に似せつつも西洋風の思弁を纏わせる。「バビロンの王女」は古代の話と思わせて、18世紀と明らかに分かる諸国を巡る大ロマンス。2021/04/24

kogyo_diamond

3
歴代ベジタリアンを語る上で欠かせない存在ヴォルテール。その際引用される『バビロンの王女』かつて人間が鳥を食べるまでは鳥は人間と話が出来たという、なかなか読めずにいたがボルヘスバベルの図書館に収められていることを知りようやく読めた。期待通りのプリンセスストーリー。美男美女でなければ物語が成立しなかったことを思うとシュレックって画期的だったな。『ミクロベガス』を読む限りヴォルテールは『ガリバー旅行記』のスウィフトに比べてかなり手厳しい皮肉屋だ。現代の量子力学を知ったら彼はなんと言うだろう。装丁画が美しい2021/11/24

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