内容説明
心理学者フランク・パヴロフによる反ファシズムの寓話に、ヴィンセント・ギャロが日本語版のために描いた新作「Brown Morning」、哲学者高橋哲哉のメッセージが加わった日本だけのオリジナル編集。
著者等紹介
パヴロフ,フランク[パヴロフ,フランク][Pavloff,Franck]
フランスとブルガリア国籍をもつ心理学者、人権運動家。子どもの心理と人権のスペシャリスト。アフリカやアジア、フランス国内での子どもの問題に30年以上かかわってきた経験をもつ。子ども向けのものや詩集をふくめ、彼の著作はフランスで多数出版されている
ギャロ,ヴィンセント[ギャロ,ヴィンセント][Gallo,Vincent]
ニューヨーク州バッファロー生まれ。映画監督、俳優、画家、写真家、ミュージシャンなどさまざまな分野で活動するマルチ・マーティスト。’70年代後半より画家としてのキャリアをスタートさせ、現在までに500点以上の作品を制作。’80年代以降、日本をふくめ世界各地で個展を開催。自らが監督、主演した映画は『バッファロー’66』(1998)『ブラウン・バニー』(2003)
高橋哲哉[タカハシテツヤ]
東京大学大学院総合文化研究科教授。哲学者。現代世界の諸問題について、深く鋭い思索と問題提起をおこなっている
藤本一勇[フジモトカズイサ]
早稲田大学文学部助教授。公共情報哲学専攻
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シナモン
164
茶色以外認められなくなった国。自分の犬は茶色じゃないから安楽死させた。胸が痛んだけど、15年も生きたし…。喉元過ぎれば熱さを忘れる。こうやって茶色以外の浮いた色にならないように生きる。なんか変だなぁと思っても日々の生活があるし、面倒なことに巻き込まれたくないから考えないふりをする。今の日本にも茶色の国のような側面はあると思う。じゃあ自分に何ができるか。何もできないけどとりあえずはこの本を読んで感じた心のモヤモヤを忘れないようにしていこう。薄い本だけど、とても考えさせられる一冊でした。2021/02/20
Aya Murakami
138
大学時代に存在を知った本。某イラストサイトの絵を見ていて無性に読みたくなり他館から取り寄せた図書館本を読みました。 絵本なのでビジュアル面でもどんどん茶色化していく恐怖を体感できますね。そして最後は…おや?誰か来たようだ。 2019/02/02
夜長月🌙
82
知らぬ間に「ふつうの人々」から離れた道を進む国家の恐ろしさを語ります。しかし、本当は知らぬ間ではないのです。私たちがなんとなくやり過ごしているうちに事は進んでいきます。それは本当に密やかに、密やかに。ナチスも戦前の日本も民主主義国家であったはずです。今も軍事力拡大などが進み、福祉、子育て支援、男女格差解消などが後回しにされています。私たちはやり過ごすことに慣れ過ぎています。2022/12/26
♪みどりpiyopiyo♪
77
これは昔々ある国に起こったおとぎ話ではありません。「ごく普通の」国家が、日々の生活に知らぬ間に忍び込み、人びとの行動や考え方をだんだんと支配するようになるさまを描いたショート・ストーリーです。巻末に哲学者・高橋哲哉のメッセージ付き。■「すごく快適な時間だったし、すっかり安心していた。まるで、街の流れに逆らわないでいさえすれば安心が得られて、面倒にまきこまれることもなく、生活も簡単になるかのようだった」■フランス語で『茶色』はfascismの象徴(1998年。日本版 2003年)(→続2017/08/14
コットン
70
茶色以外の猫や犬が禁止される世界に「まるで、街の流れにさからわないでいさえすれば安心が得られて、面倒にまきこまれることもなく、生活も簡単になるかのようだった。茶色に守られた安心、それも悪くない」と最初は思っていたが…。 本文と別にメッセージとして次のことが語られていた。:シラク大統領時代に極左勢力が急速に台頭した時、極左批判の本としてフランス市民に広く読まれたことで有名のようです。2015/11/24