出版社内容情報
人の死なない日はない。毎日誰かがあの世へ行っている。「弔いは、死人のためにするんじゃない。残されたもののためにするんだ」
内容説明
人の数だけ弔いがある。死者の想いを掬い取りあの世へ送り出す弔いの物語。
著者等紹介
梶よう子[カジヨウコ]
東京生まれ。2005年「い草の花」で第29回九州さが大衆文学賞大賞を受賞。08年『一朝の夢』で第15回松本清張賞を受賞し、単行本デビューする。江戸の絵師たちを描いた『ヨイ豊』で直木賞候補となり、同作品が第5回歴史時代作家クラブ作品賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
190
いつの世も人の営みの終わりには死がある。此方から彼方へ送り出すお弔いを生業とする者・颯太。「弔いは、残された者のためにある。」それは今も変わらないよね。シリーズ2 を先に読んで今回、颯太がとむらい屋を始める話でストンと沁みた。そこで働く仲間たちの事も始まりの話として梶さんが巧い。連作6話、『幼なじみ』『へその緒』『火屋の華』が特に好き。2020/07/26
初美マリン
125
始めは軽く読んでいたが、死者を弔うこと生きているものの思い、そしてとむらい屋の人びとの過去がわかるにつれて悲しみを秘めている思いが心に残った2020/01/13
とし
102
「とむらい屋」を生業とする颯太とその仲間たち勝蔵、巧重三郎、道俊、おちえ、正平、韮崎宗十朗、と好い仲間たちですね、「弔いは残された者のためにある」、「人の死で飯を食う」第6章で颯太生き様が解りますね。2019/10/15
のぶ
99
江戸時代のとむらい屋を中心にした作品。話の中心は、葬儀屋の店主、颯太。「弔いは、死人のためにするんじゃない。残されたもののためにするんだ」をモットーにいろいろな人の死に対応していく。心中、死産、貧困、自死、火事等。幼い子供の弔いも持ち込まれる。ただ、物語の雰囲気は暗くはなく、むしろコミカルなところもあった。颯太の他にも、おせっかいな居候、おちえ。早桶職人の勝蔵。お寺の坊主、道俊。これらの人たちが入り乱れ、人情噺が繰り広げられる哀しくも暖かい一冊。2019/06/24
タイ子
94
11代将軍と言うから徳川家斉の時代、江戸でとむらい屋を仲間たちと営む颯太の物語。とむらい屋とは映画で話題になった「おくりびと」と今の葬儀屋さんを一緒にしたような生業かな。いつもクールな颯太の中には「弔いは残された者のためにある」と死者に感情移入することなく務めを果たしてはいるが彼の過去にも今に至る悲しい出来事がある。とむらい屋の仲間、一人一人にも物語があり各章で語られるのだがその都度胸が熱くなる。亡くなった人の事を覚えていて供養できるのは生きてる人間の仕事。同じことを昔ご住職から言われたことを思い出した。2019/09/12