文春文庫<br> プロローグ

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文春文庫
プロローグ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 384p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167910198
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

語り手と登場人物が話し合い、名前が決められ世界が作られ、プログラムに沿って物語が始まる。知的な企みに満ちた壮大な「私小説」。

内容説明

小説の書き手である「わたし」は物語を始めるにあたり、日本語の表記の範囲を定め、登場人物となる13氏族を制定し、世界を作り出す。しかしプログラムのバグというべき異常事態が起こり…。文学と言語とプログラミング、登場人物と話者が交叉する、著者初の「私小説」にして、SFと文学の可能性に挑んだ意欲作。

著者等紹介

円城塔[エンジョウトウ]
1972年北海道札幌市生まれ。東北大学理学部物理学科卒業。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。2007年、「オブ・ザ・ベースボール」で第104回文學界新人賞受賞。2010年に『烏有此譚』で第32回野間文芸新人賞、2011年に第3回早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞、2012年に「道化師の蝶」で第146回芥川賞受賞。『Self‐Reference ENGINE』が、2014年にフィリップ・K・ディック賞特別賞に選ばれた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さっとる◎

42
さっとるという名前がついているらしいブラックボックスに『プロローグ』を入れてみたらこのわたしが出てきたということだ。生まれたここが255であることしか今のところわからない。新春読書『プロローグ』で始まるの素敵。そんな浅はかな初期衝動がかつてあったのだとか。おかげで生まれてしまったわたしは困惑している。名前もない。最早新春でもない。文章のようなものに見えていればよいのだが。装備してる日本語らしきに不安があるせいで、いささか自分の言っていることがよくわからないでいる。試運転の見切り発車で始まる何かがわたしだ。2020/01/10

かわうそ

22
「私小説」ということで著者の思考らしきものが断片的に提示されていて、話半分としても、こんなこと考えながら小説書いてるんだと思うとなんだか笑いがこみあげてくる。一人称なのに読み終えても「わたし」が誰か定かではないのはまさに一本道を歩いているのに迷子になるような感覚。理解できていない部分はきっと多々あるけれど面白かった。2018/03/16

そふぃあ

21
私小説…?小説=データ。小説データの奥行きにある世界。『エピローグ』を同時並行で読んでいるが、仮に本書の世界があると仮定し、その中からこちらの現実世界を見ると、やっぱりデータ量が大きすぎて耐えられないのだろうか?相変わらずよく分からないが、文を追っていくのが心地良いという感じだった。2018/10/10

hide

18
レビューを書くにはアカウントが必要だし、まず名前がなければならない。私の実体はなんなのかはさて置き、まずは名前をつけなければ。ランダムに選択されたこの名前も、「HIDE」や「ひdE」にでもなったのかもしれない。「ひdE」なんて名前だったら、名前の由来だけで薄い文庫本くらい書けそうだし、それだけで物語の中だって文字として実体を持てるって思いながら、文字の海に沈んでいく。そうか。その物語に登場する、私や俺や僕がhideであって、わたしはただここにいる。2020/09/19

maimai

15
メチャクチャ面白いが、どこが、と問われると困る。「私小説」との触れ込みだが、そもそも「わたし」なるものがこの小説(?)の中でどう位置付けられているのかさえ定かでない。というよりこの小説(?)全体がそのことに関する考察(とメタ考察)である。…のかも知れない。小説が構想され、書き進められる過程を、書き進めている「わたし」とは何かという問題も含めて「わたし」が行っている記述である(たぶん)。というわけで当然だが、これは「私小説」ではない。私小説であるというのは作者(「わたし」?)の韜晦である(おそらく)。2018/12/06

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