出版社内容情報
大人気「池袋ウエストゲートパーク」シリーズ第9弾。茨城の“奴隷工場”から中国人少女が脱走。捜索を頼まれたマコトは中国裏組織に近づく。
内容説明
時給300円弱。茨城の“奴隷工場”から19歳の中国人少女が脱走した。彼女が戻らないと、250人の研修生は全員が強制送還される。タイムリミットは1週間。捜索を依頼されたマコトは、チャイナタウンの裏組織“東龍”に近づく。彼女の事情を知り、板ばさみになり悩むマコト。万策つきた時、マコトの母が考えた秘策とは。
著者等紹介
石田衣良[イシダイラ]
1960年、東京生まれ。成蹊大学経済学部卒業。広告制作会社を経てフリーランスのコピーライターに。97年、「池袋ウエストゲートパーク」で第36回オール讀物推理小説新人賞を受賞。生き生きとした語り口と現在を映しだすエッジの鋭さが高い評価を受けた。受賞作に続篇3篇を加えた『池袋ウエストゲートパーク』(文春文庫)でデビュー。03年、『4TEEN』(新潮文庫)で第129回直木賞を受賞。06年、『眠れぬ真珠』(新潮文庫)で第13回島清恋愛文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
215
2月の第一作は、本書です。石田 衣良は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。IWGPシリーズ完読プロジェクト,今回は第Ⅸ巻。 https://bookmeter.com/users/512174/bookcases/11337296?sort=book_count&order=desc オススメは、表題作の「ドラゴン・ティアーズ」です。続いて第Ⅹ巻へ。本編はラスト1作です。 2019/02/01
KAZOO
126
この本にも4つの短編が収められています。問題解決をいつも持ち込まれるものの、自分一人では解決できなく、周りの助けを得て(いつも水戸黄門を思い出しますが)、弱者を助けます。最近このシリーズを読んでいて読み続けたいと思う魅力は池波さんの小説に近いところもあるのではないかと感じました。この表題作では主人公に戸籍上の妹が母親の決断でできるということで驚きました。2019/05/03
れみ
119
IWGPシリーズ9作目。表題作は、ある工場から脱走した中国人少女を捜す青年とともに奔走するマコト。八方塞がりな少女の状況に差し伸べられた手…ちょっと泣けてしまう。「キャッチャー・オン・ザ・目白通り」で描かれたキャッチセールスも「家なき者のパレード」で描かれた公園には住めなくなったホームレスたちと失業保険詐欺も「出会い系サンタクロース」で描かれた借金や出会い部屋もどれもすごく弱い立場の人がますます苦境に陥らされるところがやるせない。だからこそマコトやマコトのお母さんみたいな人の存在に読む側も救われる。2017/12/11
mura_海竜
107
シリーズ9作目。4篇の連作短編、格差社会がテーマ。「キャッチー・オン・ザ・目白通り」は池袋にほど近い目白のハイソマダムへの美容詐欺。表題作は中国の日本への研修制度、時給300円で働く、1人でもいなくなると全員が強制送還される。しかし郭(クー)はある理由から脱走・探し出す。タカシからマコトへ仕事を振られることが多くなってきた。マコトは対立している両者へ和解を促す能力が長けていると。表題作で終盤マコトの母親が出した提案に涙。目白は千登世橋・学習院大学周辺は個人的によく知っているところ。2019/01/13
ゆいまある
84
石田衣良は知ったかぶりのおばさんみたいな、ちょっと気持ち悪いおじさん。その偽善ぽさが鼻について暫く読まなかったんだけど、たまに無性にIWGPシリーズの文体が恋しくなる。埼玉県民が語る東京臭がして、恥ずかしくなるギリギリの感じ。池袋近くに8年住んでいて、当時も自由時間なんてほとんどなかったけど、たまに東武や西武やサンシャインシティを歩き回った。このクーちゃんみたいに。久しぶりに読むと、リズム感は心地いいし、お節介おばさん(おじさんだけど)らしく、人は傷つかないし、やっぱりこのシリーズだけは面白い。全部読も。2018/10/24