フラッシュ・ボーイズ―10億分の1秒の男たち

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  • サイズ B6判/ページ数 346p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163901411
  • NDC分類 338.15
  • Cコード C0098

出版社内容情報

なぜか株を買おうとすると値段が逃げ水のようにあがってしまう。その陰にはナノセカンドの差で先回りするフラッシュボーイズがいた。

これは凄い本。

2008年のリーマンショックで、ウォールストリートは規制が強化され健全になった、と信じられてきたが、その規制と民主化によって逆に、市場は、本当のイカサマ市場になってしまった、ということを白日の元にさらした本だ。


証券市場の民主化によってニューヨーク証券取引所とNasdaq以外の証券取引所が乱立するようになった2009年ぐらいから、ディーラーたちは不思議な現象に悩まされる。コンピュータスクリーンが映し出す各証券市場の売値と買値で取引しようとすると、ふっと売り物や買い物が消えてしまうのだ。その値が消えて、買う場合だったらば、必ずそれより高い値で、売る場合だったらばそれより低い値で取引が成立してしまう。

ウォール・ストリートの二軍投資銀行に務めるブラッド・カツヤマは、ドンキホーテのように、単身調査に乗り出す。

するとそこには、私たちの注文を10億分の1秒の差で先回りしていく超高速取引業者「フラッシュ・ボーイズ」の姿があったのだ。

取引所も、SECも大手投資銀行もすべてぐる。簒奪されるのは、善良な一般投資家。

日本での「フラッシュ・ボーイズ」の跋扈を解剖したFACTA発行人阿部重夫の特別原稿も収録。

内容説明

二〇〇七年のある日、ウォールストリートの二軍カナダロイヤル銀行のブラッド・カツヤマは、さっきまで画面にあった売り注文が、買いのボタンを押すと、蜃気楼のように消えてしまうことに気がついた。その謎をとこうとパズルのピースをあわせて見えてきたのは、コンピュータ化された市場で常態化した巨大な八百長、ミリ秒、マイクロ秒、そしてナノ秒のしのぎを削って私たちを先回りするフラッシュ・ボーイズの姿だった。唖然、呆然、これでは一般投資家は絶対に勝てない。

目次

序章 幻想のウォール街
第1章 時は金なり
第2章 取引画面の蜃気楼
第3章 捕食者の手口
第4章 捕食者の足跡を追う
第5章 ゴールドマン・サックスは何を恐れたか?
第6章 新しい取引所をつくる
第7章 市場の未来をかいま見る
第8章 セルゲイはなぜコードを持ち出したか?
終章 光より速く

著者等紹介

ルイス,マイケル[ルイス,マイケル] [Lewis,Michael]
1960年ニューオリンズ生まれ。プリンストン大学から、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスに入学。1985年ソロモン・ブラザーズに職を得る。ちょうど、ソロモンが住宅ローンの小口債券化を開発した時期に立ち会い、その債券を売ることになった。その数年の体験を書いた『ライアーズ・ポーカー』(1990年 角川書店)で作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

harass

51
在カナダ日系銀行マンは、株式の電子取引システムを立ち上げたときに奇妙な現象に気がついた。一般投資家の株式の売り買い注文から売買成立までの僅かな時間に、銘柄と売買数の情報から先んじて売買を済ませて、利益を確実に手に入れる連中がいると。それは違法ではないので、大手の投資銀行なども同じシステムを構築し莫大な利益を生んでいた。割を食うのは一般投資家だけだった。銀行マンは、そんな不公正を正すために、優秀な人材を集めるのだが…… 「マネーボール」の著者の本。複雑な仕組みを読みやすく説明。変な人物ばかりで面白い。良書。2016/07/15

molysk

49
株の買い注文を執行しようとして取引ボタンを押した瞬間に、売りに出ていたはずの注文が消えていた――。ブラッド・カツヤマが謎を解く中で明らかになったのは、10憶分の1秒を競う超高速取引業者の姿。彼らは、分散化した取引所の間を伝わる信号の一瞬の時間差を利用して、一般投資家の注文を先回りすることで利益を得ていたのだ。先回りを無効化する仕組みを開発して、新しい取引所を開設するカツヤマと仲間たち。求めるのは、市場の公正。公正なき市場で損をするのは年金や生保などの大手の機関投資家。そして、その資金を拠出する我々なのだ。2020/04/21

Panzer Leader

38
さすがのマイケル・ルイス、「マネー・ボール」や「ブラインド・サイド」などのスポーツ物も良かったけれど、この人が証券・金融業界を描くと筆が冴え渡る。ノンフィクションなのに推理小説のような面白さ。「ウォール街で働く人たちは、嘘をつき、真実を隠し、人をごまかすことで大金をもらっているようなもの」って言葉が強烈。2015/09/25

だいだい(橙)

27
小説だと思っていたらドキュメンタリーだった。面白かった。でも証券市場に関する実務的な知識がぜんぜんない人が読んだら、厳しいかも。映画を見た同僚に聞いたら、解説をしてくれた友人がいたけどそれでも十分にわかったとは言えない、と。要は正義のために立ち上がる勇気ある金融マンを描いているわけだが、その逆側にいる人もあまり批判せずに淡々と書いているのがいい。個人的には出てくるプログラマーたちの行動や考え方にとても共感した。プロジェクトXという感じ。金融庁の長官が読んでいてくれることを願う。2017/07/31

たー

21
ううむ。こういうのを読んでしまうと株式投資なんてする気が失せてしまうな。そうならないように頑張ってくれた人たちの物語なんだけど、次の手を繰り出されるのもそう遠い未来ではなさそうだ。永遠のイタチごっこ?2015/05/28

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