出版社内容情報
干魃にあえぐ町で起きた一家惨殺事件。帰郷した捜査官が見出した真相とは。英国推理作家協会賞ゴールドダガー受賞の傑作ミステリ
ジェイン・ハーパー[ハーパー ジェイン]
著・文・その他
青木 創[アオキ ハジメ]
翻訳
内容説明
連邦警察官フォークは二十年ぶりに生まれ育った町へ帰ってきた。旧友のルークが自殺を遂げたと聞きつけたのだ。妻子を道連れに、なぜか赤ん坊を一人残して―。ルークの親から心中事件の真相究明を依頼されたフォークは、干魃にあえぐ灼熱の町で、自身の秘めた過去とも向き合うことに…。新人離れした文章力と卓越したストーリーテリングで世界中から絶賛されたオーストラリア・ミステリ。英国推理作家協会賞受賞作!
著者等紹介
ハーパー,ジェイン[ハーパー,ジェイン] [Harper,Jane]
イギリスのマンチェスター生まれ。オーストラリアに移住したのち、イギリスのケント大学を卒業。ジャーナリストの仕事を経て作家を志す。『渇きと偽り』で2015年にヴィクトリア州知事文学賞(未発表原稿部門)を受賞した。2016年に刊行となった『渇きと偽り』は、“ニューヨーク・タイムズ”紙のベストセラー・リストにランクインし、さらに2017年には英国推理作家協会(CWA)賞ゴールド・ダガー賞(最優秀長篇賞)ほか数々の賞を受賞
青木創[アオキハジメ]
1973年生、東京大学教養学部教養学科卒、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
102
オーストラリアが見舞われる旱魃の恐ろしさ。少しでも火がつくとあっという間に燃え上がってしまうのか。ユーカリは燃えやすい樹脂を出すなど、その自然の描写が印象的。酪農に勤しむ家の多い田舎のムラ社会の様子やその中での捻れた関係に隠れた犯人。もしこのパターンで続くなら、作家さんとして追いかけるかどうか悩むところ。冒頭の描写の様子は映像を見るようで、作者の筆力によるものだろう。2023/07/16
はるを@不定期低浮上中
83
🌟🌟🌟🌟☆。図書館本。悪く言えば全体的に冗長的で物語の締め方が急ぎ過ぎな印象があり構成にやや不満があるが、それを凌駕する面白さがあった。特に一番良かった点はキャラクター設定と配置を読者に印象付ける技術が卓越している事。400ページを越えるボリュームでも「コイツ誰だっけ?」みたいな『洋書長編あるある』がなかった。笑。キャラクターの描写が丁寧で且つフォークの目を通して読者にヒントらしきモノを散りばめている。だからミスリードをしたけれどそれさえ楽しかった。ちなみに犯人もご都合主義には感じなかったかな。2022/10/06
鴨ミール
46
とてもよく練られている。現在の謎と昔の謎が並行して語られていくのではじめは戸惑う。それでも、犯人が知りたくて読み勧めました。 エリーは可哀想だった。女の子を残して家を出ていく母親には、どんな事情があっても共感はできない。貧しい土地と恵まれない天候。人々の心も乾ききっている。それでも、ルークの濡れ衣が晴れてよかった。とても読み応えがありました。2022/12/13
神太郎
35
友人が関わったとある事件をきっかけに故郷に舞い戻った刑事が主人公。しかし、かつてここで起こった事件に主人公とその友人も関わっているのでは?という噂から快くは迎えられない。日本の村社会を想像させる頑なで閉塞的な感じな舞台設定にオーストラリアでもこんな感じなの?と思わずびっくり。その中で黙々と職務を遂行する主人公。デビュー作ながら読ませる内容。最後はしっかりと話をまとめる辺りで良い!2023/04/23
シキモリ
32
2017年度ゴールド・ダガー賞受賞作品。旱魃に喘ぐオーストラリアの田舎町を舞台に、とある事情により町を追われた主人公が二十年ぶりに帰郷し、旧友の死の真相を探るというのが物語の粗筋。事件そのものがシンプルかつ、一種のクローズド・サークル的な舞台設定ゆえ、中盤を過ぎても尚盛り上がりを欠いた展開が続くが、終盤に入った途端一気に畳み掛けてくる。事の真相を独白形式で語らせる手法は正直感心出来ないが、地道かつ実直な作風は好印象。封建的な村社会に蔓延る同調圧力の陰湿な描写もなかなかのものだった。続編も読んでみようかな。2021/11/15