出版社内容情報
しがない中年男の夢想の世界を描いた表題作はじめ、著者の代表的短篇を網羅した傑作集
内容説明
ある時は悪天候をもモノともしない勇猛果敢な艇長、ある時はいかなる事態にも冷静に対処するスゴ腕の外科医、またある時は高潔なる射撃の名手、そしてまたある時は命知らずのパイロット…風采上がらぬ中年恐妻家ウォルター・ミティの奇抜な空想癖を描く表題作をはじめ、アメリカ文学史上きってのユーモリストが、人生の悲哀と機微(笑)を鮮やかに語る珠玉の短篇集。著者自らの筆になる個性豊かなイラストも多数収録!
著者等紹介
サーバー,ジェイムズ[サーバー,ジェイムズ] [Thurber,James]
1894年にオハイオ州コロンバスで生まれる。1918年にオハイオ州立大学を中退して国務省の暗号部員をつとめ、その後転身して新聞記者、編集者、寄稿家として、「ニューヨーカー」誌などで活躍。軽妙で味のある文章だけでなく、イラストレイター、漫画家としても人気を博し、多数の作品を残した。1961年に死去
鳴海四郎[ナルミシロウ]
1917年生、1940年東京商科大学卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
つねじろう
50
そのね新旧和洋で三作の映画の題材となった原作はわずか12ページの物語。でもその12ページに全てのモチーフと発想、拡がりと可能性が表現されてる。この本に収録されてる作品全てがネタ本のようなもの。シニカルに人間や世の中を捉えつつ、実はそんな人間大好きみたいな匂いは其処此処に感じられる。その温かみは彼が描く挿絵の線にも現れてる。表題作と「マクベス殺人事件」「愛犬物語」が好き。「ダム決壊の日」も笑える。そう空想好きな人間に翔び立つキッカケや発想を与える天才だよね。それが出来た人間がまさに虹をつかめたのだと思う。2014/08/30
saga
31
2013年公開の映画「LIFE!」を観て原作に興味を持った。しかし、その著者は1894年(日本では明治だ)生まれで、その作品中で膨らむ妄想は第2次大戦中という舞台設定。しかも超短編! 序文の人を食ったような書きぶりと共に、不思議な作品という印象。他の短編も妄想や群集心理が弾けている。「ウィルマおばさんの勘定」が落語「つぼ算」に通じる面白さだった。2018/07/25
ミツ
14
映画『LIFE!』より。人を食った序文に始まり、同じく人を食った自作の絵の解説で幕を閉じる四コマ漫画的な短編ショートショート集。ブラックな皮肉の利いたものからちょっといい話、実録犯罪ものまでその作風は幅広く、著者の突飛な空想と妄想、恐妻家ぶり、愛犬家ぶりが如何なく発揮されている。が、いまいちどれもオチにピンと来ず、笑えなかったのは時代のせいか、短さの問題か、はたまたこちらの問題なのか。それぞれの作品冒頭に描かれている絵はどれもユーモラスで味があって好きなんだけどな…。2014/09/19
ペペロニ
11
好きな映画の原作本ということで手に取ったけど、短編からよく映画にまで仕上げたなーと感心。上品なユーモアを提供してくれる短編集。2017/06/21
🐾ドライ🐾
9
12ページほどの短篇、表題作の『虹をつかむ男』が傑作とされているらしいが、その良さをつかみとれず…ムムッ残念。主人公のウォルター・ミティという名前が「無能な夢想家」の代名詞として一般的になっているということは、アメリカ人に刺さる何かがあるのだろう。ユーモア短篇は切れ味鋭いオチがキモだと思うが、全体的にそういった作風ではないと感じた。いま読んでいる別の短篇集がキレキレなので、サーバーの短篇はより印象が弱い。 序文の自己紹介は面白い、シリンダー音のタ・ポケタ・ポケタ・ポケタ…という擬音がかわいい。2020/12/02