谷崎潤一郎全集〈第6巻〉小さな王国 母を恋ふる記 呪はれた戯曲

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  • サイズ A5判/ページ数 569p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784124035667
  • NDC分類 918.68
  • Cコード C0393

内容説明

学校という小さい世界に格差をもちこむ少年たちの話「小さな王国」、妻に殺意を抱く男の告白「呪はれた戯曲」、愛妾の美しい足に踏まれながら死にたいと願う老人の哀話「富美子の足」、ポーやワイルドの翻訳など、悪魔的と賞讃されつつ模索を続けていた大正期の秀作・異色作を収載。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

311
大正7年から8年に書かれた短篇が16篇。谷崎32~33歳。既に練達の技を見せるが、篇中の諸作品からは乱歩などとの同時代感も感じさせる。また、この時期の特質として「魚の李太白」や「秦淮の夜」他、谷崎のシノワズリーへの傾斜が目立つ。また、「母を戀ふる記」の持つ幻想性、そして「冨美子の足」などのマゾヒズム趣味もまた横溢する。いずれも谷崎ならではの佳篇ではあるが、やはり同時代の芥川と比べると、良くも悪くも通俗臭は否めない。それこそが谷崎なのだと言えなくもないのだが。2023/08/13

袖崎いたる

12
社会小説と幻想小説と変態小説を読む。こう書いただけで何か分かる人もいるかもしれないほどにザ・文学の殿堂な観がある作家。緻密な描写が寄せては返す波の如く読者と作品との境界を洗い撫でるかのような美しい文章が間断なく意識を流していく。――しかしぼくは猥褻な読者として所感を述べよう。かの有名な足フェチ小説は卓抜。素足の曲線の見事さをとても真似できない美文で表現してみせる情熱には脱帽…いや虚脱。無類である。昨今女性の靴下着用姿態が持て囃されてるのも、戦後に靴下と女性が強くなったといわれるその正しき流れと見るべきか。2016/10/22

訪問者

7
この巻も再読であるが、谷崎が書いた最も奇妙な短編「小さな王国」と最も感動的な短編「母を恋ふる記」が何と言っても素晴らしい。他にも「呪われた戯曲」、「富美子の足」など谷崎らしい名作が収められている。2019/07/23

訪問者

2
谷崎の最も奇妙な作品「小さな王国」、そして谷崎作品のうち最も感動的な「母を恋ふる記」を含む。2016/04/14

nekotennperu

1
単行本『ちひさな王国』から全編。大正7年秋、妻子を父に預けて、中国へひとり、二ヶ月間の創作旅行に出かけています。ちひさな王国、魚の李太白、母を恋ふる記など、夢の話が漱石に似てると思うのは私があまり中国の古い奇譚に通じていないからだろうか。人間が猿になった話、少年の脅迫は、今でも十分面白い話だった。おすすめです。芸術のために妻子を置き去りにして書いた中国旅行記はほんと切なくて、画舫に乗って漢詩を口ずさみながら古跡を見歩く旅は、憧れの地、支那との対話なのだろう。ほか『呪われた戯曲』「西湖の月」『自画像』など。2020/09/27

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