出版社内容情報
言葉が信用されなくなった、知の地殻変動の時代と格闘した哲学者たち。いまなお乗り越えられない地平--ここには哲学のすべてがある。
【2008年度 毎日出版文化賞(特別賞)受賞】
内容説明
マルクス、ニーチェ、フロイト―「現代」がいまなお凌駕しえない地平。
目次
総論 マルクス・ニーチェ・フロイト
フォイエルバハ
マルクス/エンゲルス
ショーペンハウアー
キルケゴール
ニーチェ
新カント学派
カッシーラー
ディルタイ
ジンメル
ヴェーバー
シャルコー/ジャネ
フロイト
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さえきかずひこ
13
西洋哲学史をあまり読んだことがないのだが、副題に導かれて、また関心のある時代なので手に取ってみた。章ごとに難度のばらつきがあるが、哲学中級者には向いている。19世紀から20世紀にかけての哲学・思想を概説するが、その前提としてカント哲学の理解が不可欠であることを痛感させられる一冊。とくにショーペンハウアーにおける彼の影響は大きいことが分かる。フォイエルバッハ、ジンメル、ウェーバー、フロイトの章については興味を惹かれて楽しく読めた。巻末の参考文献がとても充実しているのでさらにここから読書の輪を広げようと思う。2018/10/18
大森黃馨
5
直接内容には関係はないがコラム等で触れられるこの時期のプロシアの歴史や日本の哲学の受け入れの動向に興味を惹かれるこの時期一般的な印象とは異なり我が国のみならず世界もまた帰着点の見当たらない大きな歴史のうねりの中にあるこれをどう受け止めるべきか何らかのパラダイムシフトが私の中で起きかけている そういえばこれまで読んできたこのシリーズの中で触れられた哲学や哲学コラムの中にロシア関連がないなとふと気が付くロシアは西洋に含まれていないのかそれともそれだけの人物はいなかったということなのか(続く) 2023/03/27
kapo54
2
マルクス・ニーチェ・フロイトが中心。他にはキルケゴール、ショーペンハウアー、ディルタイ、ヴェーバーなど。初期のニーチェとジンメルが面白かった。2015/03/11
R
0
マルクス,フロイト,ヴェーバーはそれぞれ経済学,精神分析学,社会学と独自の学問を打ち立てた学者である。19世紀から20世紀にかけては学問の専門分化が劇的に進み,かつて哲学が担っていた知の総合化が及ばなくなってきたといえるのではないか。神学がすべてを覆っていた時代から哲学が独立したように,知の在り方を哲学のみでは語りつくせぬようになっていった。前述の3人の学問的業績もそれぞれの学問の研究の進展により,克服されたものや批判されたものもあるだろう。けれど知の歴史を追いかけるうえでは決して無視できない人々だ。2020/09/07