出版社内容情報
時は紀元前三世紀。広大な版図を誇ったローマ帝国の歴史で、史上最大の敵とされた男がいた。カルタゴの雷神・バルにあやかりつけられた名はハンニバル。戦を究めた稀代の猛将軍・ハンニバルが今、復讐の名の下にアルプスを超えた。予測不可能な強敵を前に、ローマの名家出身の主人公・スキピオは、愛する家族と祖国を守り抜けるのか?
佐藤賢一[サトウケンイチ]
著・文・その他
内容説明
時は紀元前三世紀。広大な版図を誇ったローマ帝国の歴史の中で、史上最大の敵とされた男がいた。カルタゴの雷神・バルにあやかり彼につけられた名はハンニバル。その男がいま、決戦の狼煙を上げる。果たしてローマの貴公子・スキピオは祖国を守れるのか?古代地中海を舞台とした壮大な物語が、今、幕を開ける―。
著者等紹介
佐藤賢一[サトウケンイチ]
1968年山形県鶴岡市生まれ。93年「ジャガーになった男」で第六回小説すばる新人賞を受賞。98年東北大学大学院文学研究科を満期単位取得し、作家業に専念。99年『王妃の離婚』(集英社)で第一二一回直木賞を受賞。『小説フランス革命』(集英社、全一二巻)で第六八回毎日出版文化賞特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
53
面白かったです。ハンニバルとスキピオを中心に、第二次ポエニ戦争が描かれていました。臨場感があふれており、自分も戦場の中にいるような錯覚に陥るほどリアルです。最後まで手に汗を握り続けました。2021/03/18
future4227
52
世界史を学ばなかった私にとっては名前しか知らない人物。ハンニバル・レクターの方を先に知ったぐらい(笑)。天才的軍略を発揮するカルタゴの将軍ハンニバル。それに対抗するローマの若き司令官スキピオ。相手の虚を突き、裏をかき、布陣を駆使して知略軍略の限りを尽くした戦いはまさに名勝負。終始スキピオ視点で語られるため、ハンニバルの人物像や思考もすべてスキピオの憶測に過ぎず、結局ハンニバルの実像はよく分からないままだが、かえってそれが不気味さと恐怖心を増幅させる絶妙な効果をもたらしている。2019/04/17
mayumi
25
塩野七生さんの「ローマ人の物語」の登場人物の中で一番好きなのがスキピオです。彼とハンニバルの闘いを描いたのが本著。前半のスキピオは名家のボンボン。忠僕ラエリウスがいなけりゃとっくに死んでる程情けない。しかし、敬愛する義父、父、叔父を戦争で亡くし、彼は変わる。徹底的にハンニバルの戦法を勉強し、連戦連勝を重ねていく。私が好きなシーンはマシニッサの甥のマッシワを解放するところ。肉親を殺された憎しみよりも、ローマが勝つための戦略を選ぶ。そこにスキピオの強さがある。そんな英雄が晩年失脚するのは辛かった。カトー嫌い。2019/03/29
朗読者
15
ハンニバル作品は3つ目。 第一部はハンニバルが連勝を重ね、ローマを滅亡寸前まで追い込むカンナエの戦いまでを描き、第二部はハンニバルを模倣した戦い方でスキピオがハンニバルを破るザマの戦いまでを描く構成。 第一部は戦術描写が曖昧に感じたが、これは作者が意図したもので、第二部に入り開眼したスキピオが戦術を体得する過程が描写されていく。 そして、エピローグに描かれるのは、歴史に名を刻む二人の天才の悲しい末路。 ハンニバルがローマに攻め込まなかった理由がどう描かれるのか期待していたが、そこはちょっと残念だった。2022/03/06
ニシ
11
紀元前二世、イタリアとカルタゴの間で行われた第二次ポエニ戦争をローマ側将スキピオの視点で描く歴史小説。アルプスを超えイタリアに侵攻してきたハンニバル。前半はハンニバルの包囲殲滅作戦により七万の死者を出したカンナエの戦い。神業をほしいままにする男に、それでも抗う術があるとするなら、ひとえに己が凡夫たるを認めることだけだった。終幕はザマの戦い。スキピオの不安や迷いを克明に描き、最期まで手に汗握る作品。堪能した。2020/02/19