出版社内容情報
言葉の選び方、書き出しの心得、起承転結の「転」を利かし、書き手の「ええーっ」を読み手の「へえーっ」に換える極意とは? しなやかに感じて、したたかに描く、奥義を伝授。エッセイ道30年の岸本さんが文章術を明かします。単行本『エッセイ脳 800字から始まる文章読本』を改題し待望の文庫化。
岸本葉子[キシモトヨウコ]
著・文・その他
内容説明
言葉の選び方、書き出しの心得、起承転結の「転」を利かし、書き手の「ええーっ」を読み手の「へえーっ」に換える極意とは?しなやかに感じて、したたかに描く奥義を伝授。エッセイ道30年の岸本さんが、スマホ時代の文章術を明かします。単行本『エッセイ脳800字から始まる文章読本』を改題。待望の文庫化。
目次
序章 エッセイを書くとき、頭の中で起きていること
第1章 テーマは連想の始動装置―「私」と「公共」の往復運動
第2章 頭にはたらきかける文、感覚にはたらきかける文―無意識を意識する
第3章 リスク回避と情報開示―「自分は他者でない」宿命を超えて
第4章 文を制御するマインド―「筆に随う」はエッセイにあらず
終章 ひとたび脳を離れたら
著者等紹介
岸本葉子[キシモトヨウコ]
1961年鎌倉市生まれ。東京大学教養学部卒業。エッセイスト。会社勤務を経て、中国北京に留学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
98
エッセイストのエッセイについての書き方の本です。ご自分のエッセイを引き合いに出しながらうまく説明してくれています。エッセイとは、「自分の書きたいこと」を「他者が読みたくなるように」書く、という説明が最初にありますがそれがすべてなのでしょう。ただエッセイの本質は自分で書きたいことを自由に書くのではないかと思うので、ここに書かれていることを全部まじめにやろうとするとかなり大変だということがわかりました。2019/04/06
ユメ
44
エッセイを書きたいと常々思っている。一般人でも簡単に自分の思考を綴った文章を発表できる時代。現に私もひっそりとそういうことをしている。でも、それをエッセイと称するのはどうなのか。エッセイというジャンルはプロアマの線引きが難しいからこそ、読んでもらえるための心がけが不可欠だ。著者はエッセイを「自分の書きたいことを他者が読みたくなるように書く」=「私のことを公共に伝える」文章と定義する。自分が漠然とエッセイに憧れて書いているものは「私」の範疇でしかないと猛省した。具体的な文章のコツも示されており、参考になる。2018/10/08
金城 雅大(きんじょう まさひろ)
25
「読みやすさ」に徹底的に配慮した姿勢とテクニックが満載の後半と、「自分は他者ではないという、本質的な限界がある」というフレーズがお気に入り。2019/01/31
白パラガス
19
エッセイとは何か。著者はつぎのように定義する。「自分の書きたいことを,他者が読みたくなるように書く」。なるほど,と思った。「自分の書きたいことを,自分が書きたいように書く」のはブログであり,これがブログとエッセイの違いだと,著者は語る。エッセイストの著者の頭の中で起きていることを,自身で分析し,その文章にいたるまでの道筋を解説する。本書をあたまから読んだ後で,文庫版のあとがきを読むと,それまでの解説にあったすべてが詰まっていることに気づく。読み手に配慮した,やさしい文章をかけるようになりたいものです。2018/09/28
あや
14
エッセイというのは日々の体験をさらと思いつくままに書き記したもの、というイメージだった。文章を書くことを職業にしている人には、簡単に書けてしまうのだと思っていた。全然違う。独りよがりにならず、最後まで読んでもらえて、だけど感想が「あ、そう、そうなんだ」で終わらない。エッセイを書く作業の中にこんなに工夫が詰め込まれているとは!自分の思い込みが恥ずかしくなる。そして、エッセイの構造や書き方を冷静に分析し、人に読まれる文章の書き方を丁寧に指南する、エッセイストの手の内を明かしてしまう岸本さんの大胆さに驚いた。2018/09/30