出版社内容情報
不倫、子殺し、乱倫――はからずも足を踏み入れてしまう人生の隘路。浮気を巡り夫婦二組の日常が交錯する永井荷風の「二人妻」、母への葛藤と哀しい出生の秘密が絡みあう河野多恵子の「雪」、性的不満を抱えた妻とその夫を愛する男性との三角関係を描いた小島信夫の「黒い炎」……一度迷い込んだら抜け出せない好評シリーズ第三弾。
安野モヨコ[アンノモヨコ]
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内容説明
全員淫らで、人でなし。夫の浮気に悩む同級生の千代子と玉子が意外な人物と結びつく「二人妻」、母から受けた虐待の記憶と出生の真実が溶けあう「雪」―濃密に咲き乱れる、人間たちの“裏の顔”。安野モヨコの描き下ろし挿絵とともに楽しむ、永井荷風、円地文子、久生十蘭、小島信夫、幸田文、河野多惠子の知られざる名短篇。
著者等紹介
安野モヨコ[アンノモヨコ]
昭和46年(1971)、東京生まれ。漫画家。「まったくイカしたやつらだぜ」でデビュー。エッセイスト、絵師としても活躍し、幅広い層から支持を集める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょん
24
表紙の安野モヨコさんに惚れて購入した背徳にまつわる短編集。またまたあまり読まないタイプの本なので読み進めるのに時間がかかりました。でも各話にある安野モヨコさんの挿絵が素敵。「黒い炎」はかっこよすぎて震えました。こういう読みにくい話もしっかり読めるようになりたいなぁ。2020/10/20
あーびん
21
安野モヨコ選のアンソロジー。今回のテーマは”背徳”。永井荷風『裸体』の自分の美しい肉体を武器にする奔放な娘や小島信夫『黒い炎』のさながら「おっさんずラブ」のような奇妙な三角関係は現代においてもあまり違和感はない気がする。幸田文『紫と白』の妻と愛人のバトルもリアルで、”背徳”の響きからは耽美なものを連想するが実際は下世話なものばかりになってしまうのか。2018/09/25
くさてる
15
「背徳」というテーマで、河野多恵子の「雪」を選ぶなんてそれだけで選者のセンスを疑う。2018/10/03
ぼぶたろう
14
個人的に梅雨って結構純文学に耽溺できる気がします。さて安野モヨコさんのイラストは『紫と白』のものが一番好きでした。短編はやっぱり文体の好みから永井荷風先生が圧倒的。『裸体』も『二人妻』も良かったな。先生のキャバレー(ストリップ)通いが見事に作品に落とし込まれていて笑。女という生き物を知り尽くし、かつ賛美している感じがなまめかしくて素敵でした。今までノータッチだった久生十蘭、他のものも読んでみたくなりました。2020/06/19
スイ
12
安野モヨコさんって、近現代小説もよく読まれる方なんだなぁ! あっけらかんとした『裸体』が一番好きだった。2021/03/24