内容説明
人の日記というのは、わたしはとても好きだけれど、こわいものだなとも思います。―恋愛小説や朗読にまつわる謎、キャベツやホットケーキとの瑞々しい出会い、妊娠・出産・子育てがもたらした疾風怒涛の日々…いつかは必ず失われてしまう時間を、優しくにぎりしめるように綴った著者唯一の日記的エッセイ三部作、ついに完結。
目次
1(春のかたち;僕はもう、うきうきしない;毛布にくるめば眠りのふさ ほか)
2(匂いは、いつも言葉の奥のなにかを;透明であることについて;純粋野球試合 ほか)
3(お料理地獄)
著者等紹介
川上未映子[カワカミミエコ]
1976年8月29日、大阪府生まれ。2007年、デビュー小説『わたくし率イン歯ー、または世界』で早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞受賞。08年『乳と卵』で芥川賞を、09年、詩集『先端で、さすわさされるわそらええわ』で中原中也賞受賞。10年『ヘヴン』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、紫式部文学賞受賞。13年、詩集『水瓶』で高見順賞受賞。同年『愛の夢とか』で谷崎潤一郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
37
日常にふんわり食を乗せて。失われていく時間を優しく握りしめて。触れていると安心するものってあるよね。2023/12/25
sssakura
30
「わたしであり、あなたでなくちゃ」「なんのためでもない場所から」を読んで、自分と同じ考えをされていることがわかって、とても嬉しかった。だから惹かれるのかな。南部鉄器の話や、短歌の話、ジョバンニの話も好き。2016/05/04
メタボン
28
☆☆☆★ 作家の日常を食を中心にふわりと綴るエッセイ。通勤の地下鉄で読むにはちょうど良い長さのエッセイ集で、密な通勤の苦痛もほっこりと癒してくれた。2021/07/29
niisun
23
Web上で川上さんが書き綴ってきた“食日記”を3編にした『発光地帯』『魔法飛行』『安心毛布』を通しで読んでみました。川上さんは『乳と卵』『へヴン』の2つで小説世界に触れ、その後『きみは赤ちゃん』という壮絶出産日記で、ヒトとなりに触れましたが、『きみは赤ちゃん』のインパクトが強すぎたので、同時期に日々の泡をしたためたような日記を読んでイメージの補正を試みましたw 読みはじめは、日記のようだったり詩のようだったりする文章に戸惑いましたが、最期まで読んだ今は、素敵な言葉をお持ちな方だなと思うようになりました。2016/05/10
金吾
22
日常の生活を緩い感じで綴っており、読みながらホッとするときがありました。「そばよ!」「匂いは、いつも言葉の奥の何かを」「純粋野球試合」が面白かったです。2024/01/20