中公文庫
抗日遊撃戦争論 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 265p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122060326
  • NDC分類 391.3
  • Cコード C1122

内容説明

偉大な建国者か。文化大革命等で惨禍をもたらした独裁者か。「革命は、暴動であり、一つの階級が他の階級を打倒する激烈な行動である」の一節で有名な「湖南省農民運動視察報告」に「抗日遊撃戦争の戦略問題」「文芸講話」、毛沢東思想の根幹を伝える三論文。

目次

湖南省農民運動視察報告―一九二七年三月
抗日遊撃戦争の戦略問題―一九三八年五月
文芸講話 延安の文芸座談会における講演―一九四二年五月

著者等紹介

毛沢東[モウタクトウ]
1893年中国湖南省生まれ。1921年の中国共産党創立に参画した。37年の国民党との合作以降、延安を根拠地に抗日戦争を戦い、その後の国共内戦に勝利し、49年、中華人民共和国を建国、国家主席に就任する。65年に発動した文化大革命のさなか、76年に死去

小野信爾[オノシンジ]
1930年大分県生まれ。60年京都大学大学院博士課程中退。花園大学名誉教授。中国近代史専攻

藤田敬一[フジタケイイチ]
1939年京都市生まれ。68年京都大学大学院博士課程修了。岐阜大学教授を経て、現在、岐阜県人権懇話会長

吉田富夫[ヨシダトミオ]
1935年広島県生まれ。63年京都大学大学院修了。佛教大学文学部名誉教授。現代中国研究会会長。中国現代文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ゲオルギオ・ハーン

29
表題と1927年の湖南省現地視察、42年に行った文芸講話が収録されている。個人的に十五年戦争における中国側の戦略や方針が知りたかったので、表題が一番印象に残った。共産主義が入って以降の中国の言い方は遠回しというか、文面どおりに受け取ると訳が分からなくなるので本音はなにかと考えながら読みました。戦略的にはどんな手を使っても各戦線は維持し、日本軍を消耗させることに専心するという当時の日本軍にとって一番嫌なことを徹底していたことが興味深かった。いちいち仰々しいが中身には現実路線を感じる。2022/05/16

耳クソ

17
ポストコロニアリズムや第三世界論に影響を与え、「ならずもの」的な個々のアイデンティティを尊重するニューレフトの反差別やポリコレにつながる端緒としての著者のフォルマリスムは、にもかかわらず個々人の事情やフェティッシュなどは一顧だにせず、ただ戦略、ただ目的、ただ形式のみを生きる規範とする。そして起こったのが大躍進政策の失敗による大虐殺であるが、文革とかの前に、その話をしない解説文を含めやはりマオイストというのは信用できない。われわれは戦略を考える「マオ」ではなく、死んでいく人民のなかの一人に過ぎないのだから。2024/03/15

4fdo4

15
本書は毛沢東が中国共産とのトップになる前の1927年、1938年の著書2本と1942年の講話である。読んで強く感じるのは、この難しい話を当時大半が文盲だった人口の9割を締めた農民がどこまで理解できたかという事。それと、粗削りであるため、理論が暴力的に飛躍する部分があるのだが この辺りを正当化して流してしまう強かさ。遊撃戦闘とはゲリラ戦であり、農民を便衣兵として仕立て上げる戦略で 国際法違反だ。それを農民達が知っていたかより、毛沢東が知っていたのかが気になる。 2020/02/16

古川

6
どこかの国の戦争論とは違い「敵の心胆を寒からしめ」式の精神論は一切ない。また無暗に自軍の無敵さを強調したりせず、客観的分析によって自他の戦力を比べ、「自軍のほうが弱い」と評価する。そして、日本軍には強いからこその弱みがあり、自軍は弱いからこそ遊撃戦という強みがあるとする。弁証法的唯物論の賜物かその視点は具体的であり、矛盾論の大家だけあって「これさえすれば間違いない」という思考停止に陥らず常に思考し向上せよと諭すさまは正に稀代の軍事戦術家だ。蒋介石や日本軍では相手にならないはずである。2014/12/21

フェイ

5
本書は元々「世界の名著64 孫文 毛沢東」から一部を抜粋して再構成し、2001年に「遊撃戦論」として文庫化したものを増補・改題したものである。 毛沢東の思想に触れる内容が抜粋されており、農民に対する見方を書いた農民運動視察報告、ゲリラ戦の要諦を書いた抗日遊撃戦争の戦略問題、芸術・文学のあるべき姿を書いた文芸講話の三編が収録されている。このなかで一番の見物は二番目だろう。100ページにも満たない簡潔な文章ながら、わかりやすく実践的なゲリラ戦の方法が書かれている。弱者の戦術を知りたい人は是非一読してみよう。2014/11/15

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