内容説明
洋酒喫茶のカクテルで味を覚えた三十代、夫との夜ごとの晩酌で酒量を上げた四十代、五十の声を聞いてすこし矛先が鈍り、八十を超えた今は、ゆっくりと夜の一杯を傾ける…。四十余年にわたる酒とのつき合いのなかでうつろいゆく、酒の好みや酒肴のこと、そして酒の上でのできごと。単行本未収録エッセイを多数収めた文庫オリジナル。
目次
乾杯(私とお酒;夏の酒 ほか)
ほろ酔い(酒徒とのつき合い;酒色 ほか)
酩酊(酒どころ伊丹;春愁カモカ酒 ほか)
そろそろお開き(逃げ切り酒;魚どころ・酒どころ ほか)
著者等紹介
田辺聖子[タナベセイコ]
昭和3(1928)、大阪生まれ。樟蔭女専国文科卒。38年、『感傷旅行(センチメンタル・ジャーニイ)』で第五十回芥川賞を受賞、63年、『花衣ぬぐやまつわる…わが愛の杉田久女』で女流文学賞、平成5年、『ひねくれ一茶』で吉川英治文学賞、6年、菊池寛賞を受賞。10年『道頓堀の雨に別れて以来なり』で泉鏡花文学賞と読売文学賞を受賞。20年、文化勲章を受章
浦西和彦[ウラニシカズヒコ]
昭和39年(1964)、関西大学国文科卒業。61年『日本プロレタリア文学の研究』で文学博士。関西大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
82
お酒にまつわるエッセイでした。おせいさんの作品に出て来る食べ物も美味しそうだけれど、お酒も負けず劣らず美味しそう。ゆっくりと夜に傾ける杯と共に語られるお酒の好みや肴、お酒の上での出来事を豊かに描いていて、お酒を呑む楽しみが伝わってきます。お酒が呑めないのに呑みたくなります。2016/05/10
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
50
田辺聖子さんのお酒に関するものだけを集めたエッセイ集。田辺聖子さんが書く小説に出てくるお料理の描写はものすごく美味しそうなのだけれど、お酒もそれに負けず劣らず美味しそう。しばらく禁酒中の身で読むのは、かなりつらい(笑)禁酒中じゃなかったら、すぐにでも日本酒買いに走ったはず。読友様の感想で知りました。2016/03/16
TSUBASA
29
相棒ことダンナさんの付き合いで飲み始めたお酒。量は飲まないが田辺さんにとって欠かせなくなったお酒に関するエトセトラ。お酒のエッセイだからさくっと読めるかと思ったけど意外にノらなかった。70年代の酒飲みの話だからちと古臭さを感じてしまったのかもしれない。気のいいカモカのおっちゃんとの口さがないやりとりは好ましい。2019/12/11
たまご
24
酒があって,気の利いたつまみがあって,気の置けない飲み友がいれば,それはなんとステキなことなんだろう.しみじみ思わせられるエッセイです.ちょとお若い時の,宴会での行状に対する苦言がおかしい.その苦言が嫌味でないのがまたすごい.お人柄なのかしら.芋タコなんきん,そういう意味だったんですね.脳内朝ドラのキャストでした…. あまり読んでこなかったんですが,勿体ないことをしてるですね.これから読んでいきます~2017/05/02
あんこ
24
お酒のエッセイはあまり読まなかったのだけど、最近ひとり晩酌を覚えてから、ついつい手が伸びた。お酒の席のうるさいおじさんの話なんて、大きく頷いてしまったし、酒の色事をこんなに余裕たっぷりに書ける田辺さんの懐の大きさというか、小説を読んでも素敵だなあと思っていたのに、さらに。でもやっぱり、『かもかのおっちゃん』とのおはなしがいちばん愛おしいです。2016/02/12