内容説明
江戸・深川稲荷横丁にある茶漬屋「万年」の名物は、気っぷのいい美人店主のお蓮と喧嘩の仲裁。ある日、お蓮は蜆売りの少年と武士たちの小競り合いに出くわす。やがて諍いは漁師たちと武士たちの対立に発展し、万年も巻き込まれることに…(「阿蘭陀金魚」)。文庫書き下ろしシリーズ第一弾。
著者等紹介
高橋義夫[タカハシヨシオ]
昭和20(1945)年、千葉県船橋市生まれ。早稲田大学文学部仏文科卒。月刊誌の編集者を経て、執筆活動に入る。『闇の葬列』『秘宝月山丸』『北緯50度に消ゆ』『風吹峠』で直木賞候補に。平成4年「狼奉行」にて直木賞(第一〇六回)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ドナルド@灯れ松明の火
23
初高橋さん。今までなかったようなプロットだったが、すぐ馴染んでしまった。気風のいいお蓮やしじみ売りの新公・ふらふらしている腕の立つ武士弥三郎等登場人物の性格が鮮やかな設定で、深川でおこる揉め事・喧嘩の仲裁や解決がすっきりと描かれる。高橋さんの他の作品も読んでみよう。2015/11/03
むつこ
15
けんか茶屋と呼ばれるお茶漬け屋さんを営む主人公・お蓮の連作短編集。あとがきの作者の思いに深川の土地の匂いを想像しながら読んだ。お蓮と弥三郎の恋模様がこの先楽しみです。2014/08/27
かっぺ(こと悩める母山羊)
9
割と読んでいる作家さんなのに、時々これといって目を引くところがなく事件の解決が尻つぼみで、途中で寝落ちしてしまった…。 なぜだろう、なんか華やかさがない。2013/10/15
sken
6
あまり派手な出来事や剣戟シーンこそありませんが、シンプルに楽しめる作品だと思います。蜆売りの子どもや酒には弱いが喧嘩にゃ強い弥三郎など、登場人物も個性的で、どの短編を読んでも江戸時代の市井の人々の息づかいやぬくもりが感じられます。まだまだ助走編といった感じではありますが、今後の展開も楽しみにできますんで、このシリーズは追っかけていこうかと思います。2013/04/19
松風
4
短編それぞれは安定の面白さ。弥三郎の正体は未だ不明なので、ここに張り巡らせられた伏線がどうなっていくのか楽しみ。シリーズらしいが、けんかの手打ち式をする茶屋、という設定は今後活かされるのだろうな。2013/03/30