内容説明
戦後初の山陽特急「かもめ」試乗記、夜行急行「銀河」にせ車掌報告記、駅弁と食堂車、汽車アルバムなど、内田百〓(けん)を敬愛する著者が昭和三十三年に刊行した鉄道エッセイ集。宮脇俊三氏編集の単行本が待望の初文庫化。
目次
特急「かもめ」
時刻表を読む楽しみ
僕は特急の機関士
僕は鈍行の機関士
にせ車掌の記
駅弁と食堂車
ビジネス特急の走る日―架空車内アナウンス
日米汽車くらべ
アメリカとヨーロッパの列車
汽車のアルバム〔ほか〕
著者等紹介
阿川弘之[アガワヒロユキ]
1920年(大正9)広島市に生まれる。42年(昭和17)9月、東京帝国大学文学部国文科を繰り上げ卒業。兵科予備学生として海軍に入隊し、海軍大尉として中国の漢口にて終戦を迎えた。46年復員。小説家、評論家。主な作品に『春の城』(読売文学賞)、『山本五十六』(新潮社文学賞)、『井上成美』(日本文学大賞)、『志賀直哉』(毎日出版文化賞、野間文芸賞)、『食味風々録』(読売文学賞)など。95年(平成7)『高松宮日記』(全八巻)の編纂校訂に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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bura
37
阿川弘之氏の鉄道愛、乗り物愛にあふれた一冊。昭和28年から33年まで雑誌「旅」に連載されたエッセイを当時、中央公論社の編集者だった宮脇俊三氏が担当して出版されたもの。特に夜行列車「銀河」で車掌体験する件は面白かった。又、鉄道主流時代の列車の乗り方や考え方を、現在と比較して楽しめる一冊でもある。 …今も昔も気ままな列車の旅はいいなあ。2020/07/31
saga
35
内田百閒-著者-宮脇俊三と鉄道についての偉大な作家3人が同じ時に日本に生きていたのが奇跡のようだ。特に宮脇氏が中央公論で著者の作品を編集していたなんて夢のよう。当時、鉄道が飛行機やバスよりも安くて便利な公共交通機関だったことも夢のよう。国鉄の黄金時代だったのだ。鉄道ファンとしては東京-大坂間を8時間で行けたことは幸福である。現在は新大阪まで最短で2時間20分……なんとも味気ない。航空機と新幹線の台頭で、寝台特急は軒並み廃止となり、贅沢な鉄道旅行は夢となってしまった。2015/05/21
たまご
18
主に鉄道、ちょっと船旅、東京の山間部ドライブ、温泉旅行、とゆーことが、1950年代後半の状況もまじえつつ、楽しそう(車掌や機関士なんてやってる!)に、一部悲哀+ノスタルジックに書かれてます。 鉄道に意外ともの申したり、ゴミ散らかしは今の乗客、教育されたかな、とか思いました。妄想会議、妄想案内、自分突っ込みが笑えます~2016/10/09
きあ
6
内田百閒、宮脇俊三の鉄道好きは知っていたが、今回著者の追悼コーナーでこの文庫を発見。阿川弘之も鉄道関連の本を出していたのですね。娘さんのエッセイ等は読んだことがありそこで父である阿川弘之の人となりにも触れていて、本作を読んでまさにその通りの人だと。作家によって鉄道への接し方も違うし、描かれた時代背景も違うので読み比べると大変興味深い。とても面白かった。2015/08/23
kazu8823
6
昭和30年代の東海道山陽線の「つばめ」「はと」の記述が興味深かった。新幹線のない時代在来線全盛の時代。。今よりも時間に追われずゆったりとした列車のたび、憧れです。新幹線開通前の時刻表はあまたの長距離特急・急行列車が走ってたんですね。。2015/08/02