内容説明
日本史上最大のドラマともいうべき明治維新で、「三傑」と称された大久保利通、木戸孝充、西郷隆盛をはじめ、岩倉具視、江藤新平など、立役者となった人々の足跡―。第六巻には、この国の将来像を描くためのヒントがちりばめられた二十一篇を収録。
目次
『美濃浪人』あとがき―所郁太郎
無名の人―所郁太郎
村田蔵六 「花神」を書き終えて―村田蔵六
長州人の山の神―白井小助
有馬藤太のこと―有馬藤太/近藤勇
剣豪商人―土居通夫
明治の若者たち―横井小楠/田中光顕/大隈重信
この気違い勉強―大隈重信/幕末の佐賀藩
粗食―江藤新平/大隈重信/河井継之助
討幕の密勅 「天皇の世紀展」によせて―岩倉具視〔ほか〕
著者等紹介
司馬遼太郎[シバリョウタロウ]
大正12年(1923)、大阪に生まれ、大阪外語大学蒙古語学科を卒業。昭和34年『梟の城』により第四十二回直木賞を受賞。42年『殉死』により第九回毎日芸術賞、51年『空海の風景』など一連の歴史小説により第三十二回芸術院恩賜賞、57年『ひとびとの跫音』により第三十三回読売文学賞、57年「歴史小説の革新」により朝日賞、59年『街道をゆく 南蛮のみち1』により第十六回日本文学大賞(学芸部門)、62年『ロシアについて』により第三十八回読売文学賞(随筆・紀行賞)、63年『韃靼疾風録』により第十五回大佛次郎賞を、それぞれ受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
レアル
56
時代も幕末・維新に突入。「歳月」「飛ぶが如く」「花神」等のあとがきは読んでいてその作品を思い出すし、描かれているこの時代に活躍した人物を読んでもしみじみと思いを寄せながら読んだ。中でも西郷隆盛!この人に人びとが共感するのは、力を持つ人物ながらも反政府側に立ってしまう。そして西郷自身の思いを実現できなかったところに、時代を超えても人々は自分と重ね合わせて共感するのでは!というくだり。なるほど、深い。。2018/02/16
AICHAN
42
図書館本。司馬さんに西郷について「私たちは歴史上、中国の儒教政治学でいう聖人らしい人物をたった一度だけ西郷において持った」と書いている。そして、いや高士だろうとも書いている。どちらにしても西郷隆盛という人物は日本歴史が持った稀有な存在だったろう。2019/01/30
かず
25
どの話・登場人物もとても魅力的で清々しく、もう知天命に至ろうかという私でさえ心躍ります。特に最後の「人間の魅力」が良かった。読後感が良い。この章を最後に持ってきた編集勝ちだと思います。そして、どの人物も、当時の武士階級の中では底辺の人々だったというのが面白い。武士の高潔さを思い知らされます。もう一つ印象に残ったのが「健全な野党の不在」ということでした。先生は日本の野党の起源を政府内闘争で敗れた西郷、それに連なる一派に見ます。結論に飛びますが、健全な野党を生むには、国民一人一人の意識改革が大事だと思います。2020/05/04
時代
19
いよいよ時代を経てきた感じです。倒幕維新から明治新政府のくだり。西郷隆盛、大久保利通、岩倉具視、江藤新平 などなど。薩摩隼人がいかに清々しいか何とも爽快ですね。いつもの事ながら、西郷と大久保を対峙して語りだすと止まりませんね、司馬さんはw 若干呑まれてしまいました△2016/11/03
はち
12
村田蔵六が少なすぎる…。明治維新期の後始末をした人たちを描いた一冊。西郷隆盛って、よくわからない。結局この人は日本を一度廃虚にしてから革命政府を興したかったのかな?最後のエッセイは必読。晩年の司馬遼太郎の心境が伺える。2011/02/24