内容説明
汐灘の海岸で起きた幼女殺害未遂事件。容疑者として浮上したのは、二十年前に同様の犯行を自供し、服役した過去を持つ庄司だった。その庄司が、再審請求に向け動き出した矢先の事件。予断に満ちた捜査で犯行のシナリオを描こうとするベテラン刑事に対し、庄司のかつての親友で刑事となった伊達は、独自の調べを始める。
著者等紹介
堂場瞬一[ドウバシュンイチ]
1963年生まれ。茨城県出身。青山学院大学国際政治経済学部卒業。新聞社勤務のかたわら小説を執筆し、2000年秋『8年』にて第13回小説すばる新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ユザキ部長
45
ひとつの事件があり、全く関係ないところで憶測や思いこみで人を決めつけ、一つの作品や舞台設営に勤しむ。「あいつは変わった奴だから」と毛色が違うだけで何故断罪するのか。真犯人はほくそ笑み新たな罪を作り、復讐を煽り、逃げ撒く。歪んだ思いが元凶なのか。2022/12/18
ツバメマン★こち亀読破中
36
【堂場さん100冊記念イベント参加作品(23)】 「汐灘サーガ」第1弾!うーむ何とも後味が悪い。タイトル通り、最初から終わりまでジメジメして今日の天気のようです!架空都市・汐灘で発生した幼女殺人未遂事件。20年前に発生した同様の事件とも絡んで、様々な人々の人生が動いていく…。容疑者、弁護士、刑事、被害者の家族など登場人物が話の展開と共にシンクロしていき、グイグイ引き込まれて一気読みでした~!でも汐灘には住みたくないなあ。2016/05/30
RIN
28
途中で事件の構図が判った!と思ったが最後の最後で驚きの結末。読後感は良いとは言えない。冤罪をテーマにしているが、冤罪の服役囚だけでなく、多方面にやり切れなさが半端なく感じられる物語。許せないと思える人物も一概に責められないやり切れなさ。それにしても、地方都市の閉塞感と重苦しさ生きにくさを描かせたら、堂場さん永瀬隼介さん香納諒一さんの3人、甲乙つけがたい。2012/07/20
ロッシーニ@めざせ正社員
20
なんとも後味が悪いです。復讐心にかられて間違った方向に向かってしまったり、ずっと隠していた真実を話そうとした矢先に事態が予想外な方向に行ったり。。これじゃ、誰にも救いがありません。ラストの一文がそれを象徴してるような気がします。また、冤罪はこんな風に作られるのかと思うと、ゾッとしました。2012/09/05
トラビス
12
弁護士の正義っぷりも刑事の友情もどこか中途半端で二人の思いは遂げられず。こんな顛末はありえんわと最後は少し不満でしたが、全般的に楽しめました。これが初めての堂場作品で多くの未読作品をこれから堪能できると思うと嬉しくなります。2014/12/04