出版社内容情報
沢山の命が、最後だけ、ほんの一瞬だけ、光ってから散っていくみたいだった――戦闘機を駆り、空に生き、地上での濁った生よりも輝くものを知っている「僕」たちの物語。転換の第四弾!
内容説明
ずっと二人で空を飛んでいても、決して触れることはない。彼女の手を、彼女の頬を、僕の手が触れることはない―「僕」は濁った地上を離れ、永遠を生きる子供。上司の草薙と戦闘機で空を駆け、墜ちた同僚の恋人相良を訪ね、フーコのもとに通う日々。「スカイ・クロラ」シリーズ急展開。
著者等紹介
森博嗣[モリヒロシ]
作家、工学博士。1957年12月7日愛知県生まれ。国立N大学工学部建築学科助教授のかたわら、1996年に『すべてがFになる』(講談社)で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。以後、続々と作品を発表し、人気を博している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とら
94
空虚感。虚無感。そんな感じが心を支配する。句読点が打たれるごとに行が変わる、もちろん紙の下の方は真っ白になる、その白さと描かれているシーンが相まって、本当に自分が空を飛んでいる最中の様な気分にさせられる。草薙やクリタが言ってるのって、これなんだな。飛ぶことしか考えられない、飛んでいることしか考えられない。飛ぶことへの執着。いや執着はしてはないのだろう。これは呼吸をしているのと同じ様に、ただ自分の生きる為には切り離せないものとなっている。ただそれだけ。解説でこの表紙やカバーになった経緯が分かり面白かった。2012/11/01
たきすけ
70
永遠に死ぬことがない子供達の物語。今回は地上に最も多くのしがらみを持つ男 クリタの淡く儚い恋の物語でありました。そして彼のどこか叶わぬ想いを読み進めていくと中盤にてある衝撃の事実が明かされ、物語は深い霧の中に溶けてゆく事になります。子供というのは純粋である。純粋を捨て一段進んだ時、いつの間にか穢れてしまい、そして大人になるのではないでしょうか? 本作でキルドレ達が現実か現に惑う姿を見るのは、ただ私達に鏡を見せているだけなのかもしれない。2015/10/14
kishikan
63
シリーズ第4作。語り手はクリタ。残念だけど、これまでのような、風景や感情の美しさがあまり感じられない。それは、クリタがキルドレであっても、男だからなのだろうか。それとも、どこか生にとどまっているような気がしてしまうせいだろうか。2008/01/31
akira
62
相変わらずの世界観。 そして僕が誰であるのか、またしばらく分からなかった。 フーコ、スイト、アオイ。 3人の女性により愛情とは何かを掴んでいくクリタ。 そして分かったのに、突然訪れる離別。 最後の電話はなぜか泣けた。 「僕の散香には、人間が一人だけ乗っている、 だからできなかったのだ。しかたがない。」 2013/02/02
ゲバオ
60
スカイクロラシリーズ3作目。今回はクリタの視点でストーリーが展開。今までのクサナギ視点よりも好きでした。キルドレの中では今のところクリタが一番好きですね。主役は代われどやはり立ちはだかるあの男。続きが気になります。クリタとクサナギの別れのシーンがよかった。「お元気で」「ああ、わかった」「いつか空で」「うん」「死なないで下さい」「お前もな」「お元気で」「わかったって。何度も言うなよ」「どうか、、お元気で」2016/06/02