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出版社内容情報
日本軍の政治的陰謀うずまく昭和十年代の旧満州。日蒙二世の若者が、日本人と蒙古人の間に立ち、煩悶しながら激動の地、中国大陸を生き抜いていく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Vakira
47
自分とは何か。自分を創っているのも。両親の遺伝子と成長環境。環境によって自分の思想が形成される。成長環境とは土地、風土、友人、師、社会などから「地」である。そして成長過程に得る知識も自分を形成するものだ。よって自分を形成するものは「血」「地」「知」だ。そんな事を考えさせられた。時は1938年、満、漢、韓、蒙、日の五国の民族協和の実践を目指して満洲国に創立された建国大学。当時そんなグローバルで理想的な志しの大学が創立された事を知って驚く。ていうか個人的に満州国自体理解していなかった。歴史の授業での記憶がない2021/11/11
傘緑
42
石原莞爾、辻政信、甘粕正彦、安江仙弘、松岡洋右…満洲の荒野に顕れては消え、揺れ動く革命の獅子トロツキーの幻影。ある者は描き描かれ、ある者は騙り騙られ、ある者は踊り踊らされ、ある者は語る。虚実史実の入り混じった”満洲”という虹のような政治的国家の、歴史の誠実な捏造。 スターリンと相対する形で過剰に共産主義の理想を投影された”トロツキーという虹・虹としてのトロツキー”。私はケネディとニクソンの関係に似ていると思う。映画『ニクソン』でケネディの肖像の前でニクソンは呟く「アメリカ国民は君に理想を、私に現実を見た」2017/07/18
ころこ
33
建国大学、知らなかった。政治的な思惑はあるものの、知的好奇心の集まる場所を舞台としているのは、野心と打算の張子の虎というイメージだった満州国に息吹を吹き込むようで新鮮な思いになった。調べてみると、冷戦崩壊後に描かれている点が、作者の内発的な動機を触発したのは間違いない。戦後にとって満州国は絶対悪になりがちだが、善悪の彼岸にある想像力に惹かれる気持ちは分かる。2022/10/05
karatte
16
満洲を舞台にした大河ロマン、かな? 歴史群像と呼ぶにはあまりに曲者揃い。東条英機、甘粕正彦、石原莞爾……ラスボス級が早くも登場し、のっけからテンションは高い。そしてこの独特の絵柄を見ていると、遥か昔に読んだ『ナムジ』をまた読みたくなってくる。2018/09/26
東雲
7
借り直して再読。満州国が舞台。建国大学に辻政信の肝入りで編入してきた謎の蒙人系青年、ウムボルト。彼は一体何者なのか。辻政信の裏にいるのは誰なのか。甘粕正彦の狙いとは。そして石原莞爾はどう動くのか。ガンダムのイラストでお馴染みの安彦良和の描く壮大なフィクション。この辺の歴史認識が低いので正直どの辺がフィクションなのかわからん。ちゃんと勉強すればよかった。この辺の知識を補いたいわー。2013/09/05