中公文庫<br> 隼別王子のはん乱 (改版)

中公文庫
隼別王子のはん乱 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 358p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122021310
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C1193

内容説明

ヤマトの大王の想われびと女鳥姫と恋におちた隼別王子は、大王の宮殿を襲う。無残に潰されるはん乱。若者たちの純粋で奔放な恋と死。陰謀渦まく権力の頂点にあって、ふたりの恋の残照を生きる大王たち。「古事記」を舞台に、著者が二十年の歳月をかけて織りあげた鮮烈な恋の悲劇。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

81
面白かったです。古事記を舞台に描かれる世界に浸る時間が心地よく流れていきました。若者たちの純粋な恋と死が美しく刺さります。前半はまさに日本版ロミオとジュリエットのようでした。陰謀と権力の世界、恋の残影、鮮烈な恋。臨場感あふれる空気が醸し出す古代ロマンはまさに好みです。おせいさんの描く歴史物語、堪能させて頂きました。2018/04/09

優希

60
『古事記』を舞台に描かれた恋愛に浸るのが心地良かったです。女鳥姫と恋に落ちる隼別皇子。純粋で奔放な恋は陰謀渦巻く頂点の残照のようでした。恋が叛乱を呼び、粒刺されるのには胸が締め付けられるようでした。鮮烈な恋物語と言えますね。2020/10/23

森の三時

28
心は古事記・日本書紀の世界に漂っているという田辺聖子さんの目に映るもの、肌に触れるもの、匂いや音までも臨場感をもって読みました。はっきり言って字句が難解なところがある。けれど日本語の表現や漢字の形が持つ妖しさ、禍々しさ、残酷さ、冷酷さ、悲しいまでに潔さ、荘厳さ、そして美しさと官能。もし映像に再現したら惨劇だろうに、私は美学と色気を探してページをめくる。「誰々の語れる」という形式で進む物語に、登場人物の生き方が伝わってくるようだ。2017/11/17

あかくま

19
酔わされる。田辺さんの醸すこの悲劇の美酒に酩酊しつつ読む。第一章は解説を読むより先に、これはロミオとジュリエットだ・・と思った。若さの痛々しさ、などと言うと、何だか自分がとても年寄りに感じてしまうのだけれど・・あまりに煌めいていて眩しくて、痛々しくて・・こういうものは若いだけでは描けないと思うのだ。第二章、この古代を舞台にした悲恋の本当の主人公は、全編を通して磐之媛なのだということに突如深く納得。嫉妬深い大后というイメージの磐之媛の痛みを、こんなにも近く引き寄せて描けるとは。田辺先生を心から尊敬する。2014/01/13

18
漠然と期待していた活劇は見られなかったけど、叙情的でたいそう美しく読みごたえがあった。古代の王子らしいタケル(強烈な魅力を持つが短命の英雄)を地でいく隼別や住ノ江、美しく矯満で生気あふれる女鳥の姫、無垢でしたたかな矢田の郎女。若者たちの華やかな表舞台と、陰で手を引く老獪な大王や大后たちの暗躍する裏舞台、そのおそろしい対比。ろうたけた者の賢さと哀しさ、なによりも権力を持つことの孤独、さらには、それでもなお誰かを愛さずにはいられない、それによって救われたいと願わずにはいられない、ひとのさが。美しく烈しい物語。2016/09/18

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