中公文庫
櫂 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 603p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784122016996
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C1193

出版社内容情報

大正から昭和にかけての高知を舞台に、芸妓紹介業の岩伍の許に十五歳で嫁いだ喜和が意地と忍苦に生きた波瀾と感動の半生を描く。〈解説〉宇野千代

内容説明

大正から昭和にかけて、土佐の高知で芸妓紹介業を営む富田岩伍に嫁いだ15歳の喜和。長男龍太郎の難病、次郎健太郎の遊蕩、岩伍が娘義太夫に生ませた綾子への愛と離別―。妻として母として、意地と忍苦と愛憎に生きた波瀾の女の一生を、彫琢の文体で描ききった長篇名作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

mitubatigril

5
再読 大正の頃の高知 喜和は大人過ぎる位大人しく悪く言えば子供じみた娘 そんな喜和は何故か地元でも評判の悪い渡世人のような岩伍と知り合い一目惚れしてしまう。周囲の反対も聞かず一緒になるが岩伍との価値観のズレが岩伍が芸伎紹介業を始めた頃から次第に埋まりがたいものになっていく。 様々な出来事が起きるなか、一時小康状態を保っていた夫婦関係も終わりの時を向かえ… 作者の自叙伝的な3部作の1作品目 時代の違いはあれど夫婦の問題は変わらないなぁ 価値観の相違はどうあがいても解決の方法が難しい。2020/04/14

里季

3
亡くなった父が同郷の好で好きだった宮尾登美子氏のデビュー作。私自身も高知には父の故郷ということで思い入れがある。戦前の高知の色町を舞台に、宮尾氏自らの生家のことを、15歳で嫁いできた喜和lの女の一生を通して描いている、力作。その後、喜和が実子でないにも関わらず育てた綾子(これが宮尾氏か)の物語が、「春燈」「朱夏」・・・と続くことになる。喜和の、夫に対する愛憎、稼業を切り盛りしていく意地と忍従に心打たれる。土佐では、男勝りのしっかり者の女を「はちきん」と呼ぶが、そうならざるを得なかった喜和の運命が悲しかった

tnyak

2
家族物語。結末が悲しすぎる。 2022/08/21

さき

0
実の母のように作者を育てた母、喜和を中心にした物語。私小説風にならずあくまでも第三者的視点を保って書かれているところに、むしろ作者の喜和への愛を感じる。完全無欠でない人間臭い魅力が立ち昇ってくる。味方になりたいけど、ちょっとそれはないよお喜和さん、なんてやっているうちに。それにしても…夫婦仲ってものは難しいね…。約四半世紀前、初めて読んだ時は宮尾作品の中でも面白くない方にカテゴライズしていたのが、今では涙を滲ませるまでになった。2019/08/03

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