出版社内容情報
サンスクリット文藝の白眉「カターサリトサーガラ」の成立に至る前史を辿り、失われた大作として古い大説話の存在に迫った名篇。
内容説明
『千夜一夜物語』に匹敵する世界説話文藝屈指の作『カターサリトサーガラ』。その成立に至る前史を辿るとき、失われた大作として古い大説話ブリハットカターの存在が見いだせる。本書はその存在に迫った名篇である。ブリハットカター収録作品の一部和訳も付し、謎めいたこの大説話の実相へと一般読者を導いていく。第一人者による決定版。
目次
失はれた大説話
さまざまなブリハットカター
ブリハットカターの作者と内容と言語
クシェーメーンドラの「ブリハットカターマンジャリー」
ソーマデーヴァの「カターサリトサーガラ」
ブダスヴァーミンの「ブリハットカター・シュローカサングラハ」
失はれた「カシミール・ブリハットカター」
サンガダーサの「ヴァスデーヴァヒンディ」
コングヴェールの「ペルンカダイ」
原ブリハットカター復原の試み
著者等紹介
土田龍太郎[ツチダリュウタロウ]
昭和22年(1947)東京に生まれる。48年東京大学人文科学研究科修士課程修了。54年マーブルク大学哲学博士学位取得。58年より平成24年まで東京大学文学部・同人文科学研究科に勤務(助教授・教授)。現在、東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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in medio tutissimus ibis.
2
屍鬼二十五話を含むことで知られるインド説話文芸中の巨編「カターサリトサガラ」の入門書であり、その淵源をブリハットカター典籍群に求める。半分くらい文献比較。肝心の内容は、「主人公の王子が半神にさらわれた后を探しつつほかの王女や半神をも娶り、最終的に后を取り戻し妖精の世界を征服する」という……それなんてラノベと言うべきか、人間の欲望は代り映えしないというべきか。この半神=ヴィディヤーダラ、仏典やヒンドゥー文献にも出てくるが、ジャイナ教の影響が強いのではないかと言う話。なぜか歴史的仮名遣いだがそのうち慣れる。2019/09/01