中公新書<br> 折口信夫―日本の保守主義者

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中公新書
折口信夫―日本の保守主義者

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  • サイズ 新書判/ページ数 256p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121024589
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C1223

出版社内容情報

民俗学者、国文学者にして釈超空の号で知られる歌人、小説家でもある折口信夫。多方面にわたる業績は「折口学」と総称されるが、全貌をひととおり眺めるだけでも容易ではない。本書ではまずその生涯をたどり、関東大震災、二・二六事件、敗戦から占領へという日本崩壊への危機感が稀有な思想家を生み出したことを示す。その上で、折口の思想をナショナリズムとの関係性から読み解き、真の保守主義とは何かを問い直す。

内容説明

民俗学者、国文学者にして釈迢空の号で知られる歌人、そして小説家でもある折口信夫。多方面にわたる業績は「折口学」と総称されるが、全貌をひととおり眺めるのは容易ではない。本書ではその生涯をたどり、関東大震災、二・二六事件、敗戦から占領へという日本崩壊への危機感がこの稀有な思想家を生み出したことを示す。さらに、折口の思想をナショナリズムとの関係性から読み解き、真の保守主義とは何かを問う。

目次

序章 日本社会の危機―近代化以降のすさみ
第1章 国学の再定義―二・二六事件への憤りと憂い
第2章 戦争、そして敗戦―言葉への責任と怒り
第3章 神道と天皇―日本社会存続のために
第4章 文学への情熱
第5章 民俗学の発見

著者等紹介

植村和秀[ウエムラカズヒデ]
1966年(昭和41年)、京都市に生まれる。京都大学法学部卒業。京都大学法学部助手などを経て、京都産業大学法学部教授。専攻は日本政治思想史、比較ナショナリズム論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

59
折口の思想を、社会の状況の中で捉えなおした一冊。ただ全体的に折口の文の引用は少なくそれも歌と断片だけなので、本書の著者の主観に偏りがちなような気がする。論じられているのは関東大震災、2・26及び終戦。あと文学と民俗学に対するスタンスが描かれている。本書で描かれている折口像はロマンチストのよう。戦争に対する考え方も前近代的であるし、終戦後の立ち位置も形而上学的。逆に折口の非政治性を露わにしているように思える。あとやはり自分にとって折口論文は文学なんだよなあ。古代研究のいくつかの冒頭、身震いするほど好きだし。2017/12/19

かごむし

31
折口信夫の膨大な著作の中から、彼が言いたかったことを探り出していく本。読み終わって思うのが、僕は、折口の思想に共鳴するようなところはおそらく何もないような気がする。だから、彼の作品を仮に読んだとして、心に響くものがあるかどうか。しかし、あの激動の昭和初期を生きてきた人間が、政治的なものよりも根本に、生活の中に日本人らしいうるおいを復活させ、そこから変革を起こしていくのだという信念には、理解できたし、納得もした。まだ評価が定まらない人らしい。思想的に対極にいそうな人を追うという、非常に有意義な読書であった。2019/05/04

軍縮地球市民shinshin

11
折口信夫論。著者の専門は政治思想史なので、その視点からのアプローチである。2.26事件を起こした軍人が、昭和天皇のお言葉を摘まみ食いして勝手に神格化していると折口は捉えていたらしい。三嶋由紀夫が激怒しそうな思想だ。だが、僕は折口の方を支持したい。2018/10/23

さとうしん

11
関東大震災、二・二六事件、太平洋戦争と敗戦といった時代背景から折口信夫の学問・文学遍歴を読み取る。関東大震災時の朝鮮人狩りから日本人の心のすさみを見てとる折口のあり方は、当世の「保守」とはかなり様相を異にしているように思う。本書は折口をナイーブな理想主義者として描いているが、そうした描き方がどの程度妥当なのかやや不安も。「おわりに」の「全集読書案内」は試みとして面白い。他の学者を対象に応用してみたい。2018/01/15

あっきー

10
✴3 自分は神道には興味はないが、神道以前の祭事などで語り継がれる呪詞は人々に秩序とうるおいを与え、大切にされた言葉の中から叙事詩、文学が発生する、社会を支える信仰が活性化して古典などの文芸が復興して清新な気持ちが社会を導くことで現実を良くしていくという考えは面白い、常に緊張してストレスを強いられている日常で古典を読むのは確かに心が和むしなー、ハードルが高いと思っていた折口の分かりやすい入門書だ2018/02/10

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