出版社内容情報
国の中枢で渦巻く謀略、忍び寄る疫病の影
一三〇〇年前の惨劇を、この国は繰り返すのか?
武智麻呂、房前、宇合、麻呂の四兄弟は、父・不比等の意志を受け継ぎ、この国を掌中に収めるため力を合わせる。だが政の中枢には、不比等が唯一畏れた男、長屋王が君臨していた。
皇族と藤原家。それぞれの野心がぶつかり合い、謀略が交錯するとき、古代史上最大の闇が浮かび上がる――。
内容説明
武智麻呂、房前、宇合、麻呂。父・藤原不比等の遺志を継ぎ、四人の子らはこの国を掌中に収めることを誓う。だが政の中心には、生前の不比等が唯一恐れた男、長屋王が君臨していた。兄弟は長屋王から天皇の信頼を奪うために暗躍。それに気づいた長屋王は、兄弟の絆を裂くための策を打つ―。皇族と藤原家。野心と野心がぶつかり、巻き起こる壮絶な政争。その果てに待つ、思いもよらぬ結末とは?
著者等紹介
馳星周[ハセセイシュウ]
1965年北海道生まれ。横浜市立大学卒業。出版社勤務を経てフリーライターになる。96年『不夜城』で小説家としてデビュー。翌年に同作品で第18回吉川英治文学新人賞、98年に『鎮魂歌(レクイエム)―不夜城2』で第51回日本推理作家協会賞、99年に『漂流街』で第1回大藪春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
初美マリン
128
藤原不比等の四人の息子に焦点をあてた作品は、はじめてだった。皇后も含め不比等の跡を追う。政というのは権力追うこと、そしてそのむなしさ、驕り。面白いがやはり四人に分散されているのか迫力に欠けているように思われた。2021/02/26
のぶ
89
飛鳥時代から奈良時代を舞台にした話で、あまり知識もなかったが、巻頭に登場人物系図も付いていて、文章も読みやすく面白い話だった。藤原不比等没後の武智麻呂、房前、宇合、麻呂の子息の四兄弟を中心にした物語で、四人の子は国を掌握することに力を注ぐ。そして常に話に立ち塞がるのが長屋王。事あるごとに兄弟の絆を裂くための策を打つ。本書では長屋王が悪人扱いされていたが、実際の人物像については分からないが、ストーリーを盛り立てるのには重要な役割を果たしていた。今日の歴史の分岐点になる読み物として興味深かった。2020/07/23
さつき
69
奈良時代を舞台にした小説は色々ありますが藤原四兄弟をメインにしたものは初めて読みました。兄弟の性質の違い、お互いの相性などもよく描き込まれていて感情の機微が面白かったです。そして聖武天皇の安宿媛への思いの深さにちょっと引きます。母も妻も不比等の娘って血が濃すぎて改めて怖い。2024/02/10
巨峰
59
「比ぶ者なき」の続編にあたりますが、この作品のほうが凄かった。長屋王の変までを描くが、藤原四兄弟を必ずしも仲良しに描かずに、個性を与えそれぞれを独立した存在としたことで、物語は常に緊張を孕んでいた!2021/10/02
るぴん
47
図書館本。前作『比ぶ者なき』の主人公藤原不比等の4人の息子達の物語。不比等亡き後、朝廷の実権は皇族の長屋王に移り、武智麻呂、房前、宇合、麻呂の4兄弟は藤原のために智略を巡らせるが、兄弟は一枚岩ではなかった…。兄弟にとっては、妹の安宿媛が天皇と相思相愛というのが大きかっただろう。それがなければ藤原の力を伸ばすどころか長屋王に負けていたかも。長屋王の変後、兄弟が次々と亡くなったのは、良心の呵責の大きさの順番だったのかもしれない。後の藤原氏で最も栄えたのが房前を祖とする北家だったのは、皮肉としか言えない。2021/07/20