妻を譲らば

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  • サイズ B6判/ページ数 334p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784120048494
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

絵に描いたような文学少年であった高校時代、谷崎潤一郎は最も好きだった作家の一人で、全集の七割は読破していた。今回、主だった作品を一気に再読して、実生活で起こした「細君譲渡事件」がどれほどこの人の作品世界に深い影を投げかけているかを再認識した。『蓼喰ふ蟲』をはじめとする一連の作品の現代性にあらためて驚嘆しつつ、その「陰翳」を及ばずながら現代社会にトレースするつもりで書き上げたのが本作である。

著者等紹介

平山瑞穂[ヒラヤマミズホ]
1968年東京生まれ。立教大学社会学部卒業。2004年、「ラス・マンチャス通信」で第16回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

巨峰

39
煽情的なタイトルだけど、夫婦であることを維持するために、夫婦生活のある部分を他者である部下の男に委ねた男が主人公。小説には、その崩壊が描かれている。ミステリーとしても秀逸で、何人もの視点から描かれている。この人いるの?と途中まどろしくなったことはあるけど、物語の収拾の過程で不可欠な人とわかる。よくできた小説だけど、深さが欠けるという感想が目立つのは、よくできすぎた小説だからかとも思った。(エロさはほぼ無いので、それを求めてはいけません)2024/01/08

ひめか*

28
平山作の群像劇好き。妻が他の男と付き合うことを容認する夫。この奇妙な三角関係と、彼らに関わる人々の視点が入れ替わりに描かれる。将大が転落した事件を追いつつ、将大の亡き父・龍雄の自分史を巡る出来事も追う中、それぞれの心理が複雑に絡み合う様が面白い。自分に足りないものを補うことで妻を満足させようとしたという点で、父も将大も同じ。父への反発の結果、父と同じ行動を取っていた将大、嫌でも親子なのだ。最後は明るくまとまり安心。鈴華は将大だけを愛してるから、父とは違い二人は歩み寄れるはず。ひなたと冬馬の幸せも願ってる。2021/02/17

ophiuchi

15
「妻を譲る」という言葉からイメージしたのとは、ちょっと違う内容で、夫が妻の愛人を認めてしまう、積極的に若い男と結びつけるという話だった。しかも自分の父親がそうしていたことを嫌悪していた息子が結果的に同じことをしてしまう。最近、今の自分の年齢だった頃の亡くなった父のことを思い出して、結構似たようなことをやっているなと思ったことがあったので、共感とまではいかないけれど、ちょっと不思議な気持ちになった。2017/09/02

zanta

14
262/9/25/2016 煽情的な表紙で、内容をちょっと斜めに読み始めてしまったが。あながち間違ってもいないけど、最後の父の文には、読んで良かったと思わせられた。未婚の私には解りづらいこともあるが、どの人もけして悪人ではなくても、こういう展開になるのだなぁとしみじみ。2016/09/25

13
前作・バタフライと同じく群像劇だが完成度が遥かに高いと思う。性的な倒錯を描いているが、性描写がほぼなく、心の細かな描写が代わりとなっている。買って良かった。後半は、好みが分かれるかもしれないけれど、とてもこの作者らしい展開。手に入れたはずなのに、直ぐ隣にいるのに、お互い片想い。血統と偶然に呪いのように縛られた登場人物たちの人生は、癖があってもなお、共感せずにはいられなかった。2016/06/03

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