出版社内容情報
3.11、路線の多くを被災した三陸鉄道、通称「さんてつ」。大地震や津波の被害から、前を向いて立ちむかう鉄道マンたちの姿を、「このマンガがすごい!2012」?bPの吉本浩二が描く!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
厩戸皇子そっくりおじさん・寺
73
先日この吉本浩二が描いた勝新太郎の漫画を読んで大層面白かった。面白いのみならず、人間を暖かい眼差しで見ている絵柄に惹かれた。吉本漫画をもっと読みたくなり手に取る。東日本大震災5日後に、瓦礫の中、運転を再開(無料!)した岩手県の三陸鉄道の話。誰かを主人公にした話ではなく、三陸鉄道と大震災に纏わる人達を取材したもの。それ故に、色んな人の良い話が銘々伝の様に刻まれている。愚直で武骨な絵柄故に「刻まれている」という言葉が相応しい。原武史や石井光太も登場。原武史の粋な買い物に好感を持った。働く事って素晴らしい。2016/06/04
chantal(シャンタール)
62
普段は漫画は登録しないのだが、これは特別に。2014年には全線復旧したとのこと、多くの方が復旧に尽力されたのだろう。そしてその方々も自身が被災者であったと思うが、鉄道を走らせる事こそが「会社の存在意義」であると信じ頑張るその姿に頭が下がる。地方では多くの鉄道路線が姿を消している。それを寂しいとは感じても、何も出来ない無力な私。こんな未曾有の災害さえも乗り越えたのだから、これからも三鉄が地元の足として、走り続けてくれる事を祈る。そしていつか、私も三鉄に乗りに行きたいと思う。2018/03/09
安南
36
復旧支援のために千枚もの切符を個人で購入した大学教授が、あの『滝山コミューン1974』の原武史氏とは意外な気がした。曰く「一部とはいえ5日後には運転を再開した三陸鉄道に、原爆投下から3日後にはもう走っていた広島電鉄を思い出しました」「【安全】よりも非常時には優先すべき【安心】を、再開することで地域の住民に与えました。立派な英断です」2014/03/11
saga
26
2013/9/27偶然書店で見つけた。国鉄線から第3セクターとなっても厳しい経営を強いられていた三陸鉄道が、大震災を受けて頑張っている姿を見聞きしており、購入は必然に思われた。発災から復興へ向けての努力の経過を読むにつけ、ほとんどを涙ぐみながら読んでいた。『遺体』を執筆した石井光太氏の話も出てきて、今まで自分が読んできた震災関連書籍が繋がったと感じた。2013/09/27
もえたく
19
『定額制夫のこづかい万歳』で話題の著者が、東日本大震災からわずか五日でガレキの中を運行を再開した三陸鉄道を描いた震災ドキュメンタリー漫画。2012年出版ですが、風化させてはいけない震災の記録だと思いました。「安全」でなければ運行してはならないという名目を、非常時には優先すべき「安心」を地域住民に与えるために、運行を再開させた。2022/04/03