目次
密会〔小説〕
著者の言葉―『密会』・エッセイ
自作を語る―『密会』・談話
「密会」の安部公房氏・談話記事
「水中都市」から・エッセイ
構造主義的な思考形式―渡辺広士・インタビュー
解題―石川淳著『夷斎筆談』・エッセイ
解釈でなく体験の50分・談話記事
カメラによる創作ノート・フォト
都市への回路・インタビュー〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
子音はC 母音はA
3
安部公房が写真好きだと知り、この全集で関連エッセイを紐解く。インタビューを通して自らの文学・演劇の創作活動に対する意識を丹念に語る。また写真という媒体をどう咀嚼して創作に向けたかを語る。「箱男」が好きな人にはかなり読み応えがある。また「カメラによる創作ノート」「都市を盗る」と云った写真付きのアフォリズム/エッセイは秀逸で【創作の際に汚いものを描く時に観念で書かないように、写真を通して汚いものを観てから書く】(「都市への回路」)と述べてたように、廃墟、落書き、はたまた、人がションベンしてる所を写す。2014/06/26
roughfractus02
1
コントロール社会/現代社会はおそらく病院型の管理社会である。演劇に非実在物を混入し、異化の実験を繰り返す彼は、そんな社会を描きながら、習慣に従う人々を非実在の側で演じさせ、彼らの総意の不条理が観客の思いこむ正常さと齟齬を来す仕掛けを作り続ける。フォトエッセイでも、写真と被写体を現実と思う習慣に従うか、撮る者の欲望の表現と捉えるかによって社会の見え方が変わることを示唆する(『都市への回路』『写真を盗る』)。病院のような世界の『密会』が書かれ、「人名救助法」「S・カルマ氏の犯罪」「仔象は死んだ」が上演される。2017/02/19
asako
0
対談の中の安部公房の言葉。「実は、これからテレビは映画の延長だと僕は思っています。これから十年先か二十年先かわかりませんがけれども、本を本屋で売るように、映画がね、個人がプライベートに観るものとして再生される時期がかならず来ると思うんです。でその時は、映画館はもうないでしょうね。」(1978.8) うーん。1978ってレンタルビデオが、もう、あったっけ? とにかく「予想通りっすよ、先生。」と思った。。。2016/10/05
mak2014
0
長編小説は『密会」のみ。前半はカフカの『城』を思わせ、ユーモアを感じさせるところが好き。後半は、異形のみ愛(密会)になっていく。2012/01/29