忘れられたワルツ

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忘れられたワルツ

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  • サイズ B6判/ページ数 179p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784104669066
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

ピアノを弾く姉。TVに出る母。未知の言語を学ぶ父。何もないのは私だけ。あの発作が起きるまでは。想像力の尖端に立つ7篇の物語。

何かが始まるとき、それはすでに終わっているのかも知れない。恋愛とは雑用である。不要でなく雑用である。忙しいときに限ってオトコというものが現れる(「恋愛雑用論」)。ピアノを弾く姉、テレビに出る母、未知の言語を学ぶ父。何もないのは私だけ。あの発作が起きるまでは(「忘れられたワルツ」)。想像力の突端から、震災後を生きる者たちの不安/不穏を描き出す、絲山文学の極北七篇。

内容説明

地震計を見つめる旧友と過ごす、海辺の静かな一夜(「強震モニタ走馬燈」)、豪雪のハイウェイで出会った、オーロラを運ぶ女(「葬式とオーロラ」)、空に音符を投げる預言者が奏でる、未来のメロディー(「ニイタカヤマノボレ」)、母の間男を追って、ピアノ部屋から飛び出した姉の行方(「忘れられたワルツ」)、女装する老人と、彼を見下ろす神様の人知れぬ懊悩(「神と増田喜十郎」)他二篇。「今」を描き出す想像力の最先端七篇。

著者等紹介

絲山秋子[イトヤマアキコ]
1966年東京都生れ。早稲田大学政治経済学部卒業後、住宅設備機器メーカーに入社し、2001年まで営業職として勤務する。2003年「イッツ・オンリー・トーク」で文學界新人賞、2004年「袋小路の男」で川端康成文学賞、2005年『海の仙人』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、2006年「沖で待つ」で芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

386
大震災を機に世界との間に生じた断層、あるいはズレといった異和を描いた小説が7話。冒頭からの2話には震災の記憶も濃厚だ。第3話「葬式とオーロラ」あたりから、次第に世界が変容し始め、それは次の「ニイタカヤマノボレ」で一気に加速する。シュールな趣きを持つ「NR」は、それが最も顕著で、したがって分かり易い。ところが、次の表題作「忘れられたワルツ」で、読者は混迷に投げ出されることになる(これが篇中では最難解)。そうした断層は巻末の「神と増田喜十郎」に持ち越されるが、その一方で、これで予定調和という気もするのである。2015/04/12

めろんラブ 

143
もし絲山氏にお会いする好機(サイン会など)があっても、残念ながら回避するしかない。それは、好きすぎるが故の妙な挙動で気味悪がられ、早々につまみ出される事うけあいだからである。アイドルの握手会などに出没する”やらかしてる”ファンを見るにつけ、あれは我が姿なのだと肝に銘じるようにしている。さて、こちらは待ちに待った絲山氏の最新刊。軽々と期待を超えるプロの技を繰り出すのは毎度の事ながら、作品毎に新たなアプローチに挑戦する姿にはザ・作家の矜持を感じる。お会いできる日は永遠に来ない。そんな確信を持って、本を閉じた。2013/07/09

なゆ

120
それとなく震災後をにおわせる短編集。高まる危機意識や、受け入れられない人、目を逸らす人、何かが変わったと感じる人、そのとき神は…。表題作は、なんか不思議な父娘の会話からハッと気づいた時の衝撃。「ニイタカヤマノボレ」も、なんか怖い暗示的。「NR」の不思議な迷子感のなかでの津田と湯浅のヘンな会話やつぶやきとトカトントンはフフッと笑えてツボ。でも、一番印象的で好きだったのは「神と増田喜十郎」。女装が唯一の趣味の増田と神がすれ違う。ちょっと気まぐれにも見える神、その手の中に全てはあるのだということに、ヒヤリ。2014/06/10

nico🐬波待ち中

98
震災を絡めた7話が収められた短編集。「恋愛とはすなわち雑用である」の一文で始まる『恋愛雑用論』。雑用でしかないけれど決して不要ではないらしい。日下部さんと金子くんの掛け合いが笑えた。また「離婚したから遊びに来ませんか」で始まる『強震モニタ走馬燈』も良かった。新年早々この一行の年賀状を寄越した女友達は、暇さえあれば強震モニタを見ているという変わり者。けれど悩みだろうが悪口だろうが、何を言っても否定しない。こんな友達いいな。今日も一人でモニタ監視をしているであろう彼女に、是非とも凹んだ時に逢ってみたいものだ。2017/10/06

あつひめ

74
過去と現在がほんのわずかな紙一枚くらい違いにありながらもう見ることができない喪失感。大事な物を失う怖さ。物語はまだまだ続くように終わってる。この中に出てくる人は、その続きを生きている…なぜかそう思わせる筆運び。二人なら一人より寂しくない…別のものが動き出すような、もう私たちには見えないものがそこにはあるような…。都会ではない、地方ならではの人との距離感を感じる。2014/12/21

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