透明な迷宮

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  • サイズ B6判/ページ数 209p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784104260096
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

性に憑かれたハンガリー人に拉致された日本人カップル。悲劇を共有し愛し合うようになった二人がとらわれた迷宮とは? 最新小説集。

「僕たちの運命は、どうしてこんなに切なく擦れ違ってしまうのだろう──」深夜のブダペストで、堕落した富豪たちに衣服を奪われ、監禁されてしまった日本人カップル。「ここで、見物人たちの目の前で、愛し合え──」あの夜の屈辱を復 讐に変えるために、悲劇を共有し真に愛し合うようになった二人が彷徨い込んでしまった果てしない迷宮とは? 美しく官能的な悲劇を描く最新小説集。

内容説明

僕たちの運命は、どうしてこんなに切なくすれ違ってしまうのか―美しく官能的な悲劇を描く表題作はじめ、最新傑作小説6篇。

著者等紹介

平野啓一郎[ヒラノケイイチロウ]
1975年愛知県生れ。北九州市で育つ。京都大学法学部卒。大学在学中の1999年、「新潮」に投稿した「日蝕」により芥川賞を受賞。以後、数々の作品を発表し、各国で翻訳紹介されている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

風眠

93
満たされることの無い、深くて大きな空白を抱えている人、人、人・・・。他人と同じ筆跡の文字が書ける郵便配達人が差し替えた、大量の郵便物。ずっと探し続けていた人物は、実は自分自身のことだったと知る男。海外出張中に奇妙な性的体験をし、帰国後、その相手と再会する男がはまり込んだ迷宮。祖父の遺品にあったピストルの処理に翻弄される姉妹。火にしか性欲がわかない男。愛する女を失い、奇病にかかった男。みんな何かを満たしたくてさまよっている。屈折しながら、葛藤しながら、だから孤独で、空白が生じる。すこし淋しい7つの物語。2014/08/14

かみぶくろ

89
さすが平野啓一郎と唸ってしまうような短編群。この人の特徴はやはり全てを見透かしているような明晰さだろう。相変わらずむちゃくちゃ頭良いなこの人ってのが率直な感想。不可思議で虚構色の強い物語たちはどれも印象深く魅力的である。通低するテーマは人間の認識の曖昧さとでも言えそうだが、そこから時間論、他者性、アイデンティティなど様々なテーマへと派生し、読者を認識の迷宮へといざなう。作品毎に文体を変える著者だが、その質の高さゆえなんとなく共通する平野色が滲み出てしまうのは面白い皮肉である。2015/06/12

優希

78
不思議な雰囲気の漂う短編集でした。うたた寝をしているときに見たほのかな夢のような世界が広がっています。内面を深く表現し、官能的な魅力を醸し出しています。皆、何処かに迷っていて、様々な「何か」から逃れられないでいるように感じます。この物語自体が見えない迷宮だと思います。2014/12/28

Ikutan

77
平野さんの短編集は初めて。表題作の『透明な迷宮』では、ブダペストで衣服を奪われて監禁され、見物人の前で愛し合うことを強要された主人公の屈辱とその後の心の揺れが繊細に描かれる。『消えた蜜蜂』は特殊な能力を持った郵便配達員の物語。小川洋子さんのような美しくも歪な世界に独特な余韻が漂う。『family after』では、とんでもない遺品に翻弄される娘と孫に、どうなることかとハラハラ。『火色の琥珀』は火に欲情する男の物語。炎って確かに少し官能的だな。朝井さんの『正欲』を思い出した。刺激的な装画はムンクの『接吻』。2022/08/22

そら

72
とても文学的な六編の作品。現実と虚実の合間のような、不思議な感覚になる。わかりやすいとか、面白いとか、そういった読物ではない。でも、こういう風な物語を想像することは、我々には難しく、だからこそ読物としての面白味があると思えた。確実に筆跡を模写した郵便局員の話と、火を愛した男の話が印象的だった。2023/02/21

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