出版社内容情報
華やかで繊細で豪快、ああこの味! 熊鍋、チーズ、京の豆餅、梅干し……静岡から沖縄まで、食エッセイの名手が精選の15品を探訪。
内容説明
熊鍋。オイルサーディン。かまぼこ―。静岡から沖縄まで舌で発見した15の探訪記。
目次
熊鍋―滋賀県大津市「比良山荘」
わさび―静岡県下田市「まるとうわさび」
蒲鉾―大阪府・難波戎橋筋「大寅蒲鉾」
オイルサーディン―京都府・丹後「竹中罐詰」
クラフト・ビール―静岡県沼津市「ベアード・ブルーイング」
柚子―高知県馬路村「馬路村農業協同組合」
梅干し―和歌山県龍神村「龍神自然食品センター」
奈良漬―奈良県県・春日大社「森奈良漬店」
鮒ずし―滋賀県・琵琶湖西「喜多品老舗」
チーズ―岡山県・吉備高原「吉田牧場」〔ほか〕
著者等紹介
平松洋子[ヒラマツヨウコ]
エッセイスト。東京女子大学文理学部社会学科卒業。食文化と暮らし、文芸と作家をテーマに幅広く執筆している。著書に『買えない味』(Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞)、『野蛮な読書』(講談社エッセイ賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よこたん
51
“わるいもんからええもんはできない。ええもんからしか、ええもんはできない”“真によいもの、あるいは邪心のないものはおのずとひとを引き寄せる。” 食べて欲しいという作り手の思いと、食べたいという人の思いが重なり合って、味は伝承されていく。月鍋(熊肉)の脂身の美しさの奥にある猟師さんの思い、奈良漬や鮒ずしの年月が育てる滋味。ほわっほわ、むにむに、ぷにぷにの「出町ふたば」の豆餅のおいしさのわけ、季節を味わうような中津川の栗きんとん。そして大阪「大寅」の蒲鉾の「はもいた」「練り天ぷら」が紹介されていて嬉しかった。2018/05/04
ユウユウ
51
作ること、食べることが生きることにつながっていることを感じさせられる本。高い!と思ってしまうけれど、これだけの作り方されているものなら、しかるべきと思えます。ひれふす熊鍋、誇らしいわさび、むちむちの蒲鉾、味わい豊かな缶詰、幸福なビール、鮮やかなまんまるの柚子、妙薬の梅干し、媚びない奈良漬、文化遺産の鮒寿司、衝撃のチーズ、とにかく甘い黒豚、稀有な菓子、ほわっほわむにむにの豆餅、くちびるをやんわり撫でる五島うどん、強烈な破格のイラブー汁。どれも憧れてしまいます。2017/11/28
野のこ
42
職人さんの真剣なまなざし。微笑ましい家族写真。滋賀県熊の解体という貴重な体験。私も以前いただきましたが白く光った脂が宝石のようでうっとりしたのを覚えてます。京都のオイルサーディンは実家でよく登場してました。上品なパッケージにそうそう!懐かしい♬「ごっくん柚子ドリンク」はよく母が飲んでます!今回は私の両親の味と重なりがあって嬉しかったです。「吉田牧場」のチーズの《フレッシュな搾りたての乳の味》はぜひ味わいたい。鹿児島黒豚のキュッて上をむいたお鼻が可愛しかった。「食堂かたつむり」を思い出しました。2017/11/24
ユメ
38
「日本のすごい味」取材記、西日本編も、食を生み出す人々の真摯さにひたすら頭が下がる思いだった。「森奈良漬店」の創業者は「声なくして人を呼ぶ」という言葉を残した。「本当にいいものを作っていれば必ず売れる」という言い回しをよく耳にするが、それが現実となるには、「本当にいいもの」を作るのに想像を絶する手間暇が必要なのだ。「まるとうわさび」の飯田さんはこう言う。「もう命がけでわさびを育てています」命をかけて命と対峙するような誠実な仕事をしているからこそ「すごい味」が生まれ、その味は土地の歴史、風土、文化を物語る。2017/12/17
たまきら
31
うわあ、こりゃたしかにすごい味だ!知っているものから当然初耳のものまでワクワクする味が紹介されています。平松さんの文章はもともと好きですが、心温まる感謝の言葉ににっこりしました。かっこいい人たちがたくさんいる!私も頑張らなきゃなあ。2020/12/02