出版社内容情報
開国か攘夷か。黒船の威嚇を背景に条約締結を迫る列国を前に、国論は真二つに分断された。折しもオランダから到着した新造艦咸臨丸。この日本初の遣米使節艦艦長として、勝は安政7年、福沢諭吉、中浜万次郎らを率い渡洋の壮途につく。しかし、数知れぬ困難を乗り越え、異国の風土を目のあたりにして帰国した時、大老井伊直弼は暗殺され、物情は騒然、幕府の権威は地に堕ちていた。
内容説明
開国か攘夷か。黒船の威嚇を背景に条約締結を迫る列国を前に、国論は真二つに分断された。折しもオランダから到着した新造艦咸臨丸。この日本初の遣米使節艦艦長として、勝は安政7年、福沢諭吉、中浜万次郎らを率い渡洋の壮途につく。しかし、数知れぬ困難を乗り越え、異国の風土を目のあたりにして帰国した時、大老井伊直弼は暗殺され、物情は騒然、幕府の権威は地に堕ちていた。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セロリ
44
情報量が多過ぎて、なかなか進まない。でも面白い。でも難しい。登場人物や事件がたくさんあるのでメモしながら読み進める。だから尚更進むのが遅い。しかし、サラッと読むのがもったいないと思ってしまう作品だ。二巻ではついに咸臨丸で米利堅へ渡る。帰りにハワイに寄り、5月に帰国。この船には福沢諭吉も乗っていた。戻ってきて、井伊大老の暗殺を知る。それだけじゃない。生麦事件だの、長州がアメリカ戦を砲撃するだの、暗殺だって横行する。坂本竜馬は麟太郎を先生と呼び土州の仲間を連れてくる。麟太郎は人を惹きつける魅力があるみたいだ。2023/04/21
B-Beat
31
★紆余曲折の末の咸臨丸での渡米。海舟が見る米利堅国。細やかで雄大な描写が心に響く。初めて公式に西洋列強の文明に接した日本人の心境・気概に触れて勇気をもらう。諭吉や龍馬などもこの巻から登場。大河で萩原健一さんが演じた岡田以蔵も海舟の用心棒として当然に。龍馬以上に海舟と縁ある人物として描かれる。龍馬よりも大柄な6尺を超える身の丈だったとは意外。蘭学に始まり船舶操舵術などの実学を身に付けたことにより着々と立身出世していく海舟。それは黒舟来航以来、幕府の権威が失墜していく中でのこと。時代が彼を必要とした。3巻へ。2014/09/27
hippos
19
福沢諭吉に坂本龍馬、知った名前がいよいよ登場。アメリカでのエピソードをもう少し詳しく描いて欲しかったかな?人斬り以蔵のエピソードが少し泣ける。2018/07/19
ちゃま坊
18
咸臨丸航海記。この時代太平洋横断は命がけだったようだ。大暴風雨に襲われ船酔いに苦しみ、密航者まで乗っていた。勝海舟、福沢諭吉、ジョン万次郎ら著名人が乗っていたが、沈んでいたら今の日本はだいぶ違っていただろう。サムライの見たアメリカは南北戦争の始まる前か。帰りの航海で見たのは植民地にされそうなハワイ島の姿。誰だって次は日本がそうなると感じただろう。帰国後麟太郎大出世、いつの間にか坂本龍馬と岡田以蔵が弟子になっている。幕臣なのに、なぜか土佐の若い衆が多く集まり、一家の親分のようになってきた。2019/02/27
さっと
12
西洋嫌いの井伊大老就任は江戸より遠い、長崎の麟太郎の元にも暗い影を落とす。すなわち、長崎海軍伝習所の閉鎖。ところが、ふてってはいられない。今度はアメリカ行きだ。前半は太平洋横断という歴史的快挙にわき、後半は帰国後、軍艦奉行を拝しての大躍進。志士たちとの交流も深まる中、これは後の神戸海軍操練所につながっていくんだなぁ。幕臣でありながら、思想的にも立場的にも対立するはずの彼らを受け入れたところに、「真実のところ伝習生には幕府もない、大老もない、ただ百年後あるだけですから」という思いがあったんでんしょう。2013/06/09