小学館文庫<br> 赤道―星降る夜

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小学館文庫
赤道―星降る夜

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  • サイズ 文庫判/ページ数 365p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784094065480
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

真実から生まれた、命の重さを問う人間賛歌

ブラック企業に追い詰められ多額の借金を背負った達希(27歳)は発作的に飛び降り自殺を図り、15年前に死んだ祖父の霊に助けられる。祖父は生前心残りの「人探し」を一緒にすることを条件に隠し財産で借金の肩代わりを提案。
そこから祖父の霊とのボルネオへの旅が始まる。そこで出会ったのは、個性豊かな人々と悲惨な戦争の記憶。将校でも戦闘機乗りでもない大多数を占めた一般兵士の彼らの戦死とは、飢えや伝染病で命を落とす悲惨なものだった。
やがて一行は赤道の街に到着。そこには、この旅に祖父が託した本当の目的が隠されていた。今まで決して口にすることのなかった、「知られざる謀略事件」とは・・・・。そして、そこに隠された,祖父の過去にまつわる真実とは・・・・・。


【編集担当からのおすすめ情報】
おそらく日本国内ではほとんど知られていない、終戦間近の時期インドネシアで実際に起こった「ポンティアナック事件」がモチーフとなっています。この事件は日本ではほとんど知られていませんが、現地では今も毎年慰霊祭が行われ、忘れられることはありません。それは、決して遠い記憶ではありません。
戦争時は軍隊、現代はブラック企業、有名大学の体育会まで。名前と質こそ違えど、現代も昔も一部上層部の私利私欲のために犠牲になり、苦しむ人々はたくさん存在します。著者の力強い筆に救われ、励まされる方も多数いらっしゃると思います。
こんな時代だからこそ、10代の高校生から戦争を経験された年輩の方々まで、現代を生きる多くの方に是非読んでいただきたい、人間賛歌。
読後は爽やかで、明日を生きる力が湧いてくる小説です。
インドネシアとの国交樹立60周年の今年の夏に、満を持しての文庫化です。



古内 一絵[フルウチ カズエ]
著・文・その他

内容説明

ブラック企業に追い詰められ多額の借金を背負わされた達希(27歳)は発作的に自殺を図り、十五年前に死んだ祖父の霊に助けられる。祖父は生前心残りの「人探し」を一緒にすることを条件に、隠し財産で借金の肩代わりを提案。祖父の霊とのボルネオへの旅が始まる。旅先で出会ったのは、個性豊かな人々と悲惨な戦争の記憶。やがて到着した赤道の街には、この旅に祖父が託した本当の目的が隠されていた。今まで封印されていた「知られざる謀略事件」とは。隠された祖父の真実とは。終戦間近、実際に起こった事件をモチーフに描く、感涙必至の人間ドラマ。待望の文庫化です!

著者等紹介

古内一絵[フルウチカズエ]
1966年東京生まれ。2011年『快晴フライング』(ポプラ社)でデビュー。『フラダン』は第63回青少年読書感想文コンクールの課題図書に。2017年『フラダン』で第6回JBBY賞(文学作品部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yanae

89
古内さんの戦争をテーマにした話。ブラック企業に犯罪者に仕立てられてしまった達希。自殺を止めてくれたのは、死んだはずの祖父の霊。祖父の隠し財産で借金を肩代わりする代わりに、ボルネオへ向かい、ある手紙を届けるように頼まれる。あとがきを読んで、古内さんが実際に出会った人が今回の作品のきっかけになったとか。祖父が体験した戦争のくだりは辛かったけど、実際に起こったこと。一般の人が多く犠牲になったことは悲惨以外の何物でもない。今のボルネオで歓迎されたことはすごいこと。「赦し」に甘んずることなく平和を考えないと。2019/02/08

papako

74
良かった!自殺しようとした孫の達希の元に死亡した祖父勉の幽霊が現れ、二人でインドネシアに人探しに行くことに。そこで出会った霊が見える少女雪音と共に、知らなかった祖父の戦争体験に触れることになる。勉の経験した戦争、達希が勤めていたブラック企業、雪音のあったいじめ、その3つの構造の酷似が怖い。極限状態に追い込まれる戦争、判断出来ないのは当然だけど、そこで行われた悲劇の歴史は忘れちゃいけない。勉の『自分のやったことにだけ責任をとれ』これだよね。巻末の作者の取材記録も良かった。現地の方が歓迎してくれるのがすごい。2018/11/13

達ちゃん

45
わずか70年ちょっと前に本当にあった戦争という真実。戦争のむなしさ、やるせなさが胸に刺さります。もっともっと多くの人に読んでほしい、知ってほしいと思いました。2019/01/23

ざるこ

44
美しいタイトルには嗚咽を漏らすほどの悲劇が隠されていた。自殺を図った達希が祖父の霊に助けられるというフィクションな始まりだけど、祖父の願いを叶えるためボルネオに渡ってからの祖父の回想は史実に基づいているそう。戦争の地で酷い粛清を行う上官たち。歯向かうことも出来ず自分が何と戦っているのかさえわからなくなる。現地人を巻き込んだ悲劇は胸が痛い。それでも赦し前を向くことが平和に繋がるという。その寛容さには頭が下がる。赤道直下の地で燦然と輝く星の下散っていく命。臨場感のある物語は恐ろしくて悲しくただただ泣けてくる。2020/06/30

ぽろん

44
戦争とはなんと人の心を壊してしまうのか。残忍な行為も戦争という名のもとに正当化されてしまう。命の大切さを、平和な現代の有難さを痛切に感じた。2018/08/27

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