出版社内容情報
2018年上半期最大の衝撃と感動
骨格標本が発掘されたことを報じる地元紙の小さな記事を見つけた家具職人・豊は、数十年前の小学生時代、仲間数人で山中に骨格標本を埋めたことを思い出す。
しかし、それは記事の発掘場所とは明らかに異なっていた。同時に、ある確かな手触りから「あれは本当に標本だったのか」との思いを抱いた豊は、今は都内で広告代理店に勤務する哲平に会いに行く。
最初は訝しがっていた哲平も、ふと、記憶の底に淀んでいたあることを口にする。
リーダー的存在だった骨格標本埋葬の発案者・真実子の消息はわからないまま、謎は思いも寄らぬ方向に傾斜していく。
【編集担当からのおすすめ情報】
あえてハードルを上げますが、担当作でここまで掴まれ、揺さぶられ、圧倒的される小説は「サラバ!」以来です。本当に、何度読んでも、そう思います。(担当編集者)
宇佐美 まこと[ウサミ マコト]
著・文・その他
内容説明
30年前のあの日、本当は何を埋めたんだろう。日本推理作家協会賞受賞作家が放つ新境地ミステリー。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
653
帯の煽り文句が失敗だったと思う。”驚愕のラスト”を推しすぎて、作品の本質と、読者の期待するところを乖離させてしまった気がする。良く覚えていないが”2018年度ミステリの大本命”みたいな文句も大々的に書いあり、いわゆるホメ殺し。厳しいことをいえば、ラストの仕掛けは「だから何?」で、”感動”に該当すると思われる部分も、震災をダシに使ってる感が強く、豊の苦悩も、京香の心境の変化も、深く切り込めている感はない。スティーヴン・キングの『スタンドバイミー』や『IT』みたいな方向性を狙ってしくじった印象を持った。2018/08/01
starbro
498
読メで評判が良さそうなので、読みました。宇佐美 まこと、初読です。タイトルからホラーミステリと思いきや、青春ノスタルジーミステリでした。宇佐美 まことは、若い男性作家だとばかり思っていましたが、年配の主婦作家でした。良い意味で騙されました。著者の他の作品も機会を見つけて読みたいと考えています。2018/09/13
しんたろー
359
少年時に幼馴染が集まって山中に埋めた骨…中年になって、その正体が気になった一人が皆を訪ねながら真相を探る…という物語。『スタンド・バイ・ミー』を想起させる雰囲気のミステリタッチで読み易かった。東日本大震災も絡めて描かれているので苦しく哀しい部分もあるが、宇佐美さんらしいタッチでグイグイ読ませるのは流石。とても残念なのは、推理小説としては弱い部分があり、それを補う為か実在の人物を肝として使っている事…好みは分かれるだろうが自画自賛している部分も含めて私は失笑…青春&再生のドラマとして良作だけに、実に惜しい。2018/09/27
ウッディ
345
嫌いな先生を困らせる為に人体の骨格標本を山の中に埋めた真実子をリーダーとする小学生の5人組。新聞記事からあれは本当の人骨ではなかったかとの疑問を抱いた豊は、哲平、正一、京香の遠い記憶を繋げた時、忌まわしい真実がに辿り着く。事件の真相は予想どおりだったが、宇佐美まことの小説にあった骨を弔う詩から繋がるリーダー真実子の行方が意外で驚きでした。この作者、読んだのは2冊目だけど、序盤の伏線の張り方と回収の仕方が半端なく鮮やかで、女性だったというのも驚きました。面白かったです。2019/05/30
ケンイチミズバ
319
最大の疑問は、5人がリュックに分けて運ぶほどの骨を真実子一人ではたして理科室から盗み出すことが可能なのか。それでも疑問を打ち消すほどのラストに唖然とする。大袈裟過ぎな推薦文も釈然としないがまあいいやという気持ちになる。辛い現実、閉じ込めた感情を素直に吐き出せた時に人は変われることはあると思う。豊の独白は天城越えの真犯人を思い起こした。夜毎の母親と弟子との営みを目撃した衝撃と美しい娼婦がいたぶられる様子に男を殺害したい、許せないという衝動が少年の心に沸き起こる。映画を見た時の自分も心と体の中がもやもやした。2018/08/14