虫娘

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  • サイズ B6判/ページ数 248p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784093863834
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

あの日、あたしは生き返らなかった――。

シェアハウス〈Bハウス〉には五人の住人がいる。樅木照(ヌードモデルをしながら体を売っている)、桜井竜二(イタリアン・レストランのオーナー・シェフ)、妹尾真人(売れない俳優)、碇みゆき(フリーライター)、鹿島葉子(銀行員)、それにハウスを管理する不動産屋の青年・曳田揚一郎。
照の謎の死が、それぞれの人物に新しい光と影を投げかける。照はその死後も彼らの頭上を浮遊している。

《Bハウスのひとたちは自分以外みんな、不自由だと照は感じていた。あたしの死によって、気の毒なことにあのひとたちはさらに不自由になってしまったらしい》

彼らは、「あの日」のことをそれぞれに回想する。あのパーティは一体何だったのか、そして照はなぜ死んだのか、それは事故だったのか、自殺だったのか、それとも殺人?

《どこからどこまでが本当なの? 私たち、それぞれまったく違うことを、本当のことだと思っているのかもしれないでしょう?》

《みんなが照を嫉んでいたにちがいない。みんな不自由だったが、照は自由だった。俺も彼女が嫉ましかった。でも、俺は殺していない。じゃあ、誰だ?》

《あの日、あのことをはじめたのは自分だった。ただ、はじめたときに悪意があった。悪意の正体は嫉妬だった》

悪意と嫉妬、自由と不自由――小さな染みがじわじわ広がり、みんなが少しずつその染みに侵されていく。そして「あの日」がやってきた。

内容説明

四月の雪の日。あの日、あたしは生き返らなかった。その夜、シェアハウスで開かれたパーティで、いったい何があったのか?悪意と嫉妬、自由と不自由―小さな染みがじわじわ広がり、住人たちは少しずつ侵されていく。ミステリー&恋愛小説。

著者等紹介

井上荒野[イノウエアレノ]
1961年東京生まれ。89年「わたしのヌレエフ」で第1回フェミナ賞を受賞して作家デビュー。2004年『潤一』で島清恋愛文学賞、08年『切羽へ』で第139回直木賞、11年『そこへ行くな』で第6回中央公論文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

風眠

77
人間なら誰しも身に覚えのある、悪意や嫉妬といった感情というか、心の闇というか、他者には見せない部分。何にも後ろめたいことはありません、自分は清廉潔白な人間です、なんて人は、まずいないだろう。けれども、この物語の登場人物たちは、心の闇というレベルでは括れない気持ち悪い人ばかり。とあるシェアハウスで開かれたパーティーの夜、雪が降り積もる中庭で全裸で死んだ「虫のような」女。その女をめぐるシェアハウスの住人も、私は虫みたいだと思った。何を考えているのか、何をしているのか、知れば知るほど気持ち悪さが込み上げる物語。2014/10/25

きさらぎ

69
「愛せなくなった相手との別れの条件がシェアハウスで一緒に暮らすこと」これはキツイ。愛されていないことがわかっても愛し続けることができるものなのか。愛はいつからか執着に変質するものなのか。誰の記憶にも残らないように生きていきたいと思っていた照の死後、残された人々が人生を棒にするほど照を意識して行動を起こしていたなんて皮肉だ。自由に見える照もまた密かに愛した人の想いを知った時、「もっと生きているように生きているべきだった」と自分自身へ怒りをぶつける。愛も自由も生きていることも失いかけた時に初めて気付く幸せだ。2017/02/04

えりこんぐ

59
梅雨の時期に相応しいのか何なのか、じっとり湿り気を感じるとてもこの作家さんらしい作品だな、と思った。雪の日に謎の死を遂げた女性。その死因が知りたくてがんばって読んだけど、なんだか疲れた。。このシェアハウスの住人は、壊れた人ばかりだ( ´Д`) 2017/06/26

なゆ

50
シェアハウスに住む樅木照が謎の死をとげ、霊となって他の住人4人と不動産屋の曳田陽一郎の周辺を観察している。浮遊霊なんだろうけど、うつろな感じでみんなの周りをあっちへこっちへ漂ってる照こそが、羽虫かなんかのようだと思ってしまった。生きてる時も死んでるようで、よくわかんないヘンな女、虫みたいな、と言われる照。照の死は自殺なのか、事故だったのか、誰かに殺されたのか…住人同士も仲がいいようで悪いようで、なにか秘密を共有してるようで。ラストのあの光景と二人の気持ち、そこだけは確かに恋愛小説の切なさが漂っている。2014/10/01

ちゃんみー

48
とても不思議な感じのするお話でした。荒野さんの本は多分初読みかもしれません。だから余計にそう思うのかも。シェアハウスでの出来事なんですけど、若者のお話ではありません。大人の少しエッチでかなりドロドロした感じがしました。結局なんでそうなってしまったんだろうか?という内面にまでは想いが至りませんでした。恋愛小説とミステリー小説の複合版ですね。2014/09/22

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