泣きながら、呼んだ人

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  • サイズ B6判/ページ数 262p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784093863452
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

誰の心にもある、その人への思い

前作『嫁の遺言』で伊集院静氏、角田光代氏から「人間描写の達人」と評された新鋭、加藤元。待望の新刊は母と娘をテーマにした書き下ろし小説です。
物語は、4名の女性を主人公に、ロンド形式で進んでいきます。
母とわかり合えない気持ちのまま先立たれてしまったハルカ。幼い頃から自分と母を仲良し母娘と信じてきた妊婦の菜摘。小さな頃からすべての基準が母親にあり、疎ましく思いつつもどこかで手を離されるのを怖れている千晶。女としての母の側面を大人になっても受け入れられず、母を赦すことができない芙由子。
物語は彼女たちを軸に、その兄妹、夫、父親、義母、義父、友人、子供…。様々な目線、エピソードが加わり、必ずどこかしらで共感を呼ぶ、心にじんわりとしみわたる家族小説となっています。特に女性は必読の書。
震災後、家族との絆を大切に思う読者たちの心に響く、ハートウォーミングな傑作の誕生です。読後、温かな涙が心を潤すこと必至です。

【編集担当からのおすすめ情報】
じんわりと泣きたくなったら、心が傷ついて癒されたくなったら、ちょっと心身ともに疲れがたまっているな、と思ったら…そんなときにぴったりの、優しく泣ける物語です。特に女性にとっては、心の芯まで共感出来るお話なのでオススメです。

内容説明

喧嘩をしても、逃げたいと思っても、重くても、憎くても、嫌いでも、一生あなたから自由になれない。「母への思い」と「母の思い」のすべて。

著者等紹介

加藤元[カトウゲン]
1973年神奈川県生まれ。日本大学芸術学部中退後、フリー編集者などの職業を経て、2009年、第4回小説現代長編新人賞を『山姫抄』で受賞。2011年、初の短篇集『嫁の遺言』が話題に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

いつでも母さん

134
今、思い出そうとして・・私は泣きながら母を呼んだ事があっただろうか。記憶に無いのだ(多分あったのだろうが・・)母と娘は微妙だ。一人っ子でも、姉妹・兄弟がいても、一人の『母』に対して思いは千差万別だろう。そこでこの作品。4話が(4人が)細い糸で繋がってはいるものの、私には何故かというか、どうもしっくりこないのだ。(辛口御免)この中の誰にも共感できないのだなぁ。もう一歩、あと一歩胸の奥底を覗いて?抉り出してほしかったというところか・・ちょっと残念。我が子等が泣きながら私を呼んだ記憶はある!2016/09/26

nico🐬波待ち中

96
4組の母娘の確執を描いた連作短編集。4人共、母からの影響が色濃く苦い思いを拭い去れない。子にとって母とは特別な存在。無償の愛を与え全身で守ってくれて。けれどその思いの強さが足枷となることもあるのだから、母と子の関係はややこしい。ましてそれが同性なら複雑な感情も絡まる。時に重く感じる母からの愛情も、大事にされた記憶としていつまでもその人の心に残り、それが新たな愛情を育ていく。親から子へ、そのまた子へと愛情は引き継がれていく。どの短編も終わり方が、娘たちの未来に光差し込む形になっていて読後感がとても良かった。2021/05/30

おかむー

73
読んでいてなるほど女性の著者らしいなという感触。タイトルほどには重くない作風がよいですね。『よくできました』。幼い頃からの親との関係にわだかまりを抱える4人の男女の物語は、最近の言葉でいうなら“毒親”に育てられた子供の側からの視点なので、視点を変えればそうでもなかったり、本人意外には理解しづらい折り合いがついたりと必ずしもドラマチックな逆転劇ではないところがいい意味で普通。重くなりそうな親子関係をテーマにしているけれど、ほんのりユーモラスな文章でさくさく読みやすく嫌味のない読後感。2015/05/06

masa

62
加藤元さん2作目。親と子の埋めがたい確執、姉弟間の明け透けな思惑、不安定で揺れ動く家族関係を描いた4編からなる短編集は加藤氏が得手とする人間の影の部分を炙り出していて秀逸だが、後味の悪いまま締めくくらずに微かな光明が射すことで読者は救われた思いでページを閉じることができる。「誰かから大事にされたという過去があるから、誰かとともに生きていく未来を信じられる」というくだりは、静かにじんわりと染み込んできて印象に残る言葉となった。15952015/06/13

風眠

62
親だからって、完全無欠ではないのよね・・・自分が大人になってみると、親も人間だし欠点も弱点もあるってことが分かる。子どもの頃、私も母親から愛されてないかも、姉弟の中でいちばん可愛がられてない、と思って大きくなったけれど、考えてみたら母親だって人間なのだ。涙も流すし、時にはワガママだって言う。娘にとっての母親は、うっとおしくて、大嫌いで、面倒くさくて、図々しくって・・・だけど、いつだっていちばん近くにいる戦友みたいなもので。気づいてなかった自分の気持ちにハッとさせられる、ゆるやかに繋がっていく連作短編集。2013/03/11

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