出版社内容情報
江戸末期に土佐に生まれ、狩野派の技法を短期で習得した天才絵師・絵金は、見る者を妖しく魅了する独自の絵を遺した。その絵に人生を動かされた男たちの物語から、絵金の凄みを浮き彫りにする時代小説。
木下 昌輝[キノシタマサキ]
著・文・その他
内容説明
江戸末期に土佐に生まれ、幼少より絵の才能を発揮し、狩野派の技法を信じがたい短期間で習得した天才絵師―通称“絵金”。免許皆伝を得て帰郷し、土佐藩家老のお抱え絵師となるも、とある事件により追放される…。市川團十郎や武市半平太、前村洞和など、その絵に人生を左右された男たちの生きざまから、絵金の恐るべき芸術の魔力と底知れぬ人物像が浮かび上がる、傑作時代小説。
著者等紹介
木下昌輝[キノシタマサキ]
1974年奈良県生まれ。近畿大学理工学部建築学科卒。2012年「宇喜多の捨て嫁」で第九二回オール讀物新人賞を受賞。2014年、単行本『宇喜多の捨て嫁』を刊行。同作は第一五二回直木賞候補となり、2015年に第四回歴史時代作家クラブ賞、第九回舟橋聖一文学賞、第二回高校生直木賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鉄之助
303
幕末維新の土佐出身の有名人オンパレード、といった感の1冊だった。「絵金」自体が謎の絵師だけあって、何でもありかもしれないが、意表を突く設定についていけない部分も。2023/10/13
starbro
219
木下 昌輝は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。妖しの天才絵師、絵金の物語は、初めてでした。才能溢れたアーティストにとって幕藩体制は、大変生き辛かったんでしょうね。八代目市川團十郎まで、登場すると思いませんでした。【読メエロ部】2018/08/13
いつでも母さん
203
やっぱり木下さんの描く人物は面白い。面白いとしか言えない私の語彙力の無さを痛感している。絵金という天才絵師の短編6作。どこまでが事実なのかなんてどうでもよくて、産み描く絵は型にはまらなく活き活きとしている。その感じがひしひしと伝わって来るのだ。生きる事は絵を描く事という感じじゃないのに、描くことで生きてることを実感させられた感じ。絵が残るかじゃなくて見た者の心が覚えていればいい!そんな感じ。こういう男は好きです。2018/08/04
yoshida
185
幕末から明治にかけて活躍した土佐の絵師・絵金。鬼才と言おうか天才と言おうか。彼が土佐から江戸、上方で描く様々な絵。その情念、鬼気迫る赤。それは絵を見た者を動かす衝動を与える。木下昌輝さんの作品は情念の濃い作品(「宇喜多の捨て嫁」や「敵の名は宮本武蔵」等)が好みなのだが、本作も実に情念深さを感じさせ読ませる。特に武市半平太の変えられない己れの生真面目さが、哀しかった。土佐の風土と祭り。その夜に煌めく絵金の作品。これは実際にその空気に触れなければ分からない部分が相当あると思う。木下昌輝さんの作品の中でも好み。2019/06/30
ナイスネイチャ
155
図書館本。奇才絵師の絵金。幕末の高知、京都、江戸と住み処を移し、様々な歴史人物と出会い、絵を見せることでその人の心を惑わす。よく言えば妖艶、悪く言えば卑猥。人間の性を表現する絵師だったのかなと。2018/08/13