出版社内容情報
さわらずに物を動かせる!……ただし10cmだけ
相手を金縛りにできる!……でも力を使うほどハゲる
目を見ると心が読める!……でも他人の目が怖くて見られない etc…
こんな役に立たない能力(ルビ:ちから)、なくてもよくない??
ある日突然、不思議な力に目覚めてしまった五人。
悪戦苦闘しながら能力と向き合ううちに、
さえない毎日が、思いもよらない方向に転がりだし――。
「どんなに微力でふがいない人たちだって、力を合わせれば世界は変わる。
ちりばめられたさまざまなピースが最後にかっちりハマる、
行成さんらしさの詰まった優しくて愛らしいエンタメワールド。」
――瀧井朝世さん
小説すばる新人賞作家が贈る、驚き満載、爽快感120%の傑作長編小説!
著者等紹介
行成薫[ユキナリカオル]
1979年宮城県生まれ。東北学院大学教養学部卒業。2012年『名も無き世界のエンドロール』(『マチルダ』改題)で第二五回小説すばる新人賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんたろー
207
行成薫さん初読み。読友さんたちに好評で、好みの超能力ものなので楽しみにしていた…うん!期待通りの面白さで満足…5人の大したことない能力者たちの短編5つと彼らが協力して事件を解決する中編で締めくくられていて気持ち好く楽しめた。各々がちょっとずつリンクしているのも嬉しいし、その繋がりも人物設定も無理なく感じられ、筆力の高さが伺える。笑ったりシンミリしたり出来るのが良いし、著者の「人への温かい目線」が滲み出ているのも好感。エンタメ小説好きなら安心して薦められる良作。他作も読みたい作家さんに出逢え、この場に感謝!2019/07/31
nobby
201
うん、間違いなく大好物(笑)専門的に語れば、念動力・金縛り・発火能力・精神測定能力・読心術と立派な超能力を持った面々だが、一日一回限定とか動かせるのは10cmだけ、内気に潔癖症など活用すごく難しい…それ故に各々が嫌悪していた自らの特異性に、徐々に向き合っていく様が微笑ましい。そしてタダでは終わらない最終章、「スタミナ肉炒め定食」を共通項にへなちょこ5人組+αが勢揃いして、少女救出にチームワーク発揮するのが心地よい。とにかく気ままに読み進めながら、気付くとアレやコレやとコンパクトに繋がる展開を楽しめる快作♪2019/05/30
散文の詞
172
各章毎に、超能力についての説明が有り、それがある意味伏線になっていて、本編を読み出すと、コミカルな感じに終始します。 最終章は、それらをまとめてしまったような話でした。 気軽に読めて、それでいてほっこりするような感じで、読みやすいです。 食堂にも秘密がありそうですが、まだまだ、どうでもいいような超能力者がどんどんでてきそうです。 もしかしたら、 みんな超能力もってるのかも…。 2021/06/18
モルク
135
中途半端な「超能力」を持つ人々が登場人物。超能力を使うと禿げるとか、思念を読み取れるが超潔癖性で物に触れないとか、物は動かせるが右に10センチだけとかという超能力にしては微妙な感じ。彼らがある町のスタミナ定食が美味しい食堂で繋がり、一見役にたたなそうな超能力を使い…。今までコンプレックスを持ち消極的だった彼らが少しずつ前向きに立ち上がっていく姿がいい。また、読み終わってから表紙を改めて見直すと…あらあら、面白い。読後感最高!おばちゃんの絶妙なタレのスタミナ定食食べたい!2019/05/05
ちょろこ
130
ちょっとした特殊能力を持つ人たちが繰り広げる物語、の一冊。すごく良かった。特殊能力、いわゆる超能力。その力を日々持て余したり疎ましく思う人々の日常に起こるちょっとした事件。笑いあり、共感あり、ちょっぴりせつなさあり、一致団結の心ありと読後はどの章もほっこり。読むたびに良かったね、って思わず声をかけてあげたくなるほど。てっきり能力を駆使して便利で快適な生活をしている、そんな想像をしていただけにこの展開はすごく良かったな。これは思いがけないおもてなしをいただいた時の気分に似ている。ほっこり、にっこり、満足。2019/07/30