出版社内容情報
1300万人以上が暮らす東京には、一坪を無限の広さに変える達人たちがいた──。東京駅の靴磨き、新宿の宝くじ売り場、隅田川の路上生活者など、その見事な技に建築探検家が迫る!!(解説/水道橋博士)
内容説明
日本の全人口の約一割が暮らす東京。そこには自由な発想力を武器に“たった一坪”をあたかも巨大な土地のように使いこなす達人たちがいた。中野の駐車場で植物を育てる人。新宿の一角で宝くじを売る女性。世田谷で精巧なミニチュアを作り続けるピアノ修理士。建築探検家の著者が、カメラ片手に彼らの生活を突撃取材!既存の土地の概念を軽々と飛び越えて“暮らす”ことの本質に迫った一冊。
目次
仮想野球場―二人で野球をするための分身術
隅田川の0円ハウス―人体の延長線上の家
宇宙の缶詰
隙間芸術―中野のパーキングガーデン
東京駅のエアポケット―パラソルの下の靴磨き屋
現代の楽市楽座
歌舞伎町のオートクチュール宝くじ売り場
世田谷のミニチュア天国
芸術的豆本作家
高架下の画家仙人
立体読書
見えなくても、ある。
著者等紹介
坂口恭平[サカグチキョウヘイ]
1978年熊本生まれ。作家、建築家、絵描き、踊り手、歌い手。早稲田大学理工学部建築学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ホークス
34
様々な人が工夫を凝らした極小の空間(一坪遺産)。東京は時間と空間の隙間が多く、一坪遺産を生み易い。都市の採集民であるホームレスの精緻でミニマムな邸宅。庭をはみ出し限りなく変化する「0円植物園」。靴磨きのおじさんはひと時の安らぎを提供する路上の職人。冒険を楽しめるゲリラ的な露店群。折りたたみの宝くじ売場はオーダーメイドのカラクリ小屋。古本屋を「小さく圧縮された無数の空間が陳列してある」と言う著者の感性が素敵である。色々な側面がある本書だが、自分は絵本の様に楽しんだ。2018/01/30
ふろんた
16
狭い空間の中で生きる人ほど、外に広い世界を持っている。2015/07/10
エリ本
14
建築家による「空間」を考える本。この方の空間のとらえ方をフムフムと読む。「ミニチュア」「豆本」「宝くじ売り場」「靴磨き」等。狭いスペースで空間を無限に広げ実践してる人を紹介。小説の中の空間を体験する「立体読書」は、小説を楽しむこれもひとつの方法だと思った。2022/08/12
anco
12
空間はとらえ方次第で無限に広がる可能性を持っている。タイトルにあるような、一坪の空間に広がっている独自の世界が記されていたのは、靴磨き屋や宝くじ売り場の話など一部でしたが、実際の建物だけではなく、ミニチュアや小説からも独自の空間を作り出せることが描かれてありました。世界が広がっていくように感じられました。2014/10/21
nyanlay
10
0円ハウスなどの作品を既読だったので、そんなにも驚きはなかったけど、宝くじ売り場が移動できるとは知らなかったです!なのでこの本を読んだ後、宝くじ売り場をガン見してしまいました(笑)。確かに車輪付いてるし~。広い空間が良いとは限らない、狭くたって、自分が心地よければ良いんだって思える一冊です。人間知恵と創作ですよね。そして想像♪2015/03/02