出版社内容情報
谷中感応寺の境内に居を構える、けもの専門の養生所<毛玉堂>。しっかりもののお美津と、腕は確かだが不愛想な凌雲のもとには、問題を抱えた動物たちが運ばれてくる。初夏のある日、お美津の友人であるお仙に押し切られるようにして、八歳の男児・善次の面倒を任されることになり――。
人も獣も、心を通わせるには、寄り添うことをあきらめちゃいけない。
思いやる人の温もりを描いた、江戸版“ドリトル先生”物語!
内容説明
夫婦で営む養生所“毛玉堂”にやってくるのは、病める動物たちと悩める飼い主たち。“人情”という妙薬が、傷ついた心と体を癒やしていく―。江戸の世でも、ペットを思う気持ちは変わらない。もふっと可愛くほっこり温かい傑作時代小説。
著者等紹介
泉ゆたか[イズミユタカ]
1982年神奈川県逗子市生まれ。早稲田大学卒業、同大学院修士課程修了。2016年に『お師匠さま、整いました!』で第11回小説現代長編新人賞を受賞しデビュー。軽妙な筆致と、立体的な人物造形が注目の若手女性作家。他の著作に『髪結百花』がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ままこ
98
表紙と裏表紙の絵が愛らしく表情がとても良い♡江戸版動物のお医者さん。動物の異変をきっかけに揉め事や悩みなどそれに絡む謎も解決していく。もふもふ愛と人情味溢れる作品。アズキの行動の意味が分かるとその健気さにウルウル。朴訥な凌雲と優しいお美津はまだぎこちないけどお似合いの夫婦だと思う。続編が出て欲しいな。2019/10/07
タイ子
85
初読み作家さん。表紙が何ともかわいい!江戸時代の獣医さんの物語。元小石川療養所の名医と言われた医師が訳あって妻と二人で動物病院を開業。飼い主が連れてくる病を抱えた動物たちを治療しながら、原因が飼い主や家族の心の病に起因することを見つける。夫婦の仲はいいのだが、いかんせん妻の心が読めない不器用な夫に多少イラつく感あり。毛玉堂に預けられた絵の得意な男の子の出自が明らかになるあたりは時代小説の楽しみの一つかもしれない。動物が主体となって本の中にいるだけで穏やかになれるのはいいですね。2020/05/24
yukision
67
江戸時代の獣医夫婦を描いたシリーズ1作目。続編の『玉の輿猫』を読み,遅ればせながらこちらを。続編であいまいだった人間関係がはっきり分かり,獣医の奥さんの健気さが一層可愛らしく感じられた。犬猫,そして馬も登場したが,何より江戸時代が舞台ということで期待していた狆も出てきて楽しく読めた。2023/08/06
itica
58
「毛玉堂」に持ち込まれる動物の困りごとを確かな腕と知識で解決する凌雲は、医者からケモノ医に鞍替えした訳ありの先生。かいがいしく働く女房のお美津の気配りがいいのよね。良い夫婦だな。一緒に暮らす犬や猫の可愛らしさも格別で、キュンとしたりしんみりしたり、ほのぼのしたりの物語。ただ、凌雲の過去をもう少し詳しく語って貰いたかったな。お美津ちゃんだって納得していないんじゃないかな、と気がかりだ。 2019/08/15
ポチ
54
さらっと読めたが、内容もさらっとしてるように感じた。自分にはもの足りなかった。表紙に惑わされました。2019/11/04