出版社内容情報
「古代から現代にいたる神話と歴史を、ひとつの夢の環にとじこめるように描く。場所は大きい森のなかの村だが、そこは国家でもあり、それを超えて小宇宙でもある。創造者であり破壊者である巨人が、あらゆる局面に立ちあっている。語り手がそれを妹に書く手紙の、語りの情熱のみをリアリティーの保障とする。僕はそういう方法的な意図からはじめたが、しかしもっと懐かしい小説になったと思う(著者・『同時代ゲーム』)
「古代から現代にいたる神話と歴史を、ひとつの夢の環にとじこめるように描く。場所は大きい森のなかの村だが、そこは国家でもあり、それを超えて小宇宙でもある。創造者であり破壊者である巨人が、あらゆる局面に立ちあっている。語り手がそれを妹に書く手紙の、語りの情熱のみをリアリティーの保障とする。僕はそういう方法的な意図からはじめたが、しかしもっと懐かしい小説になったと思う(著者・『同時代ゲーム』)
【収録作品】
M/Tと森のフシギの物語
同時代ゲーム
──森の神話
内容説明
森の中の〈村=国家=小宇宙〉に古代から伝わる神話/歴史を描く『同時代ゲーム』。ノーベル賞受賞理由のひとつ『M/Tと森のフシギの物語』〈森の神話〉。ノーベル賞受賞作家、その爆発する想像力。
目次
M/Tと森のフシギの物語
同時代ゲーム
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かふ
19
『同時代ゲーム』は別に書いたので今回は『M/Tと森のフシギの物語』の感想。Mはmatrianrch(女族長)の意でTはtrickster(トリックスター)の意。『同時代ゲーム』より整理されてはいるのだろうが、登場人物の特異さもあって物語は複雑だ。フォークナーの息子たちというように、サーガとしての物語(マジックリアリズム)。そして一冊の本の中で閉じられる話でもなく、胞子のように種をばらまくのだ。それが日本だけではなく世界文学として認められたからノーベル文学賞を受賞したのだろう。2023/06/02
ブルーツ・リー
5
「同時代ゲーム」とそのリライトと呼べる「M/Tと森のフシギの物語」の2作品が載っている巻。 同時代ゲームに関しては、当時から失敗作との話も出ていたようで、読みづらい。水ぶくれしたように、ただただ、長い。 一方の「森のフシギ」に関しては、非常に読める。 大江健三郎程の作家になっても、リライトをすると、ここまで作品が良くなるのかというくらい、見違えるような出来。 特に中間の神話を挟んでの、前後半部分に当たる、フィクションの部分が、全く出来が違う。 思想性をそのままに、「読める」作品にリライトされていた。2022/03/01