出版社内容情報
定信、徂來、東湖、秋成、源内、慊堂……。遠くて近きは江戸の人。寛政~化政~天保~安政、各時代を代表する人物を題材に、江戸の精神風土を腑分けする。文学者ならではの筆致が歴史のリアルを呼び起こす
(原本『江戸人の昼と夜』を改題、論文「花の名は人めきて」を追加収録)
内容説明
禁欲的知識人=定信の倒錯した自己顕示欲、徂徠による政治の虚構性の暴露と絶対的な「聖人信仰」、東湖を殺めた安政大地震期に水戸藩が暴走した理由、慊堂と弟子ネットワークなど、武士的社会の内実を読解。秋成の欠損した指と自意識、源内の山師的精神の背景、銅脈先生の酔生夢死的生活を活写し、江戸時代人の精神構造の前近代性と現代性に迫る。
目次
1 プロローグ(松平定信の暗い「昼」)
2 武士的なるものの内景(徂徠政治学の原点;徂徠のアジビラ;松平外記一件始末―化政期精神風土の一断面;生きがいを見つけた旗本―遠山金四郎・大田蜀山人;思想的党派者の悲劇―藤田東湖;藤田東湖の死)
3 江戸文学の光と闇(江戸人の六つの夢;自意識と癇癖―諷刺家上/秋成;酒鬼登僊―銅脈先生補伝;源内の笑いと現代の笑い;花の名は人めきて―萩原広道と本居宣長)
4 エピローグ(文政リベラリズムの終焉)
著者等紹介
野口武彦[ノグチタケヒコ]
1937年生まれ。早稲田大学第一文学部、東京大学文学部卒業、東大大学院博士課程中退。神戸大学名誉教授。国文学者、文芸評論家、小説家。著書に『谷崎潤一郎論』(亀井勝一郎賞)、『江戸の歴史家』(サントリー学芸賞)、『「源氏物語」を江戸から読む』(芸術選奨文部大臣賞)、『江戸の兵学思想』(和辻哲郎文化賞)、『幕末気分』(読売文学賞)など多数ある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁